家庭防災1:安全な土地(安全な街)に住む
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執筆者:高荷智也
抜本的な防災対策は災害が発生しない地域に住むことです。日本の場合地震は避けられませんが、他の災害は避けることができます。洪水や津波など居住地によって確実に避けられる災害、大地震の直撃を避けられる所など、安全な土地と地域の探し方を解説します。
極力避けた方がよい、災害にとても弱い土地・地域
土地選びをする際には、必ず地域の「ハザードマップ(災害地図)」を確認してください。ハザードマップはその地域で生じる可能性が高いと想定されている災害が発生した場合に、どこがどの程度の影響を受けるかが書き込まれた地図です。ハザードマップには地域毎に様々な種類がありますが、総じて下記の土地は避けなければなりません。
洪水で水没する土地
まず「洪水ハザードマップ」で水没すると想定されている地域は避けます。河川の近くで堤防よりも低い土地は論外ですが、至近に河川がなくとも平地が広がっている地域の場合、地域全体がまとめて水没する可能性がありますのでよく調べる必要があります。地域内の古い集落や寺院神社がある場所は安全な高台であることが多いので、古い地図も確認しましょう。
また河川がない地域や高台の場合も、大雨の排水が追いつかず相対的に低い場所が水没する「内水氾濫」という洪水を起こすことがあります。坂の下にある窪地や、旧河川など周囲より一段低い場所、用水路や下水道が集合する地点などは顕著です。地域全体の標高が高くとも相対的に低い土地で起こりやすいので、確認が必要です。
津波・高潮で水没する土地
次に「津波ハザードマップ」で水没すると想定されている地域も避けます。大雨による洪水の場合は避難をする余裕がありますが、大地震後の津波は道路の破損状況などによっては避難することすらできない恐れもあるため、津波の浸水地域に居住するためには万全な地震対策及び津波避難対策を講じることが重要です。
特に今後の発生が想定されている南海トラフ巨大地震は震源地が陸地に近いため、東日本大震災などと比較して短い時間で津波が到達する恐れがあります。地域によっては地震の揺れの最中に津波が到達すると想定される場所もあるため、太平洋側の海沿いへの居住を考えている場合は、なおさら万全な津波避難対策が必要になります。
土砂災害の危険がある土地
日本は山地が多く土砂災害が発生しやすい国です。一般的に土砂災害は「土石流」「地すべり」「崖崩れ」の3つに分類されており、発生しやすい場所が全て「土砂災害危険箇所」として指定され、土砂災害ハザードマップなどに掲載されています。国内には、土石流の危険地域が18万箇所、地すべりの危険箇所が1万箇所、崖崩れの危険箇所が33万箇所存在しています。
土砂災害は地震や大雨によって引き起こされますが、突発的に生じた場合は避難をする余地がないことも多く、命を守るためには最初から土砂災害が生じる地域に住まないことが何よりも重要です。また「土砂災害危険箇所」に指定されていないような、小規模の崖や沢で災害が生じることもありますので、土地の確認が必要です。
地盤が弱い(液状化の恐れが高い)土地
大都市の臨海地域に多い、海を埋め立てて作られたウォーターフロント地区。また地方の平地に多い、田んぼを埋め立てて作られた造成地や、斜面に盛り土して作られた造成地。こうした軟弱地盤の土地は避けた方がよい場所です。大地震などで液状化現象が生じた場合、自宅が傾いたり地域全体のインフラが破壊されたりするなどの問題が生じます。
また東京のお台場に見られるように、橋やトンネルを渡らなければ内陸部へ移動できないような埋め立て地の場合、大地震で大規模な液状化現象が生じて地域全体の交通がマヒすると、津波や大規模な火災が発生した場合に避難ができなくなる恐れがあるため、このような地域に居住をする場合は建物選びを慎重に行ったり、長期の備蓄を行ったりする必要があります。
できれば避けた方がよい、災害に弱い土地・地域
活断層の直上にある土地
日本国内の場合どこでも巨大地震が生じる可能性がありますが、震源(断層)に近い地域ほど強い揺れに襲われるため、すでに判明している活断層の近くは避けた方がよいでしょう。判明している活断層の場所は公開されていますので、地域のどこに断層が走っているのかを調べて、その直上及び至近にあたる地域は避けた方が賢明です。
孤立の恐れがある地域(接続道路が少ない場所)
地方の山間地や都市部のニュータウンなどで、街の中心部と接続する道路の数が少なく、大雨や大地震で数本の道路が断絶するだけで、外部との往来が絶たれるような地域は注意が必要です。電気や水道などのライフラインもこうした道路とあわせて作られている場合があり、交通だけでなくライフラインなどがまとめて断絶する恐れがあるためです。
原子力発電所やコンビナートなどの至近・風下の地域
化学工場や石油コンビナートなどの火災、原子力発電所のメルトダウン(放射能漏れ事故)などが生じると、風下に当たる地域では大至急避難が必要になります。そのため、こうした危険施設の至近、及び常時風下になる地域は避けた方が安全です。こうした施設が事故を起こすのは大地震などを伴う場合が多く、避難が遅れがちになるため危険が高まります。