『#救助』は119番通報の後に!SNSによる救助要請の注意とポイント
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執筆者:高荷智也
2018年の西日本豪雨、2019年の令和元年東日本台風、2020年の熊本豪雨、2021年の熱海土石流…。近年、記録的な大雨による「想定外」の水害が多く発生しております。
こうした水害に巻きこまれた場合、あるいは大地震で生き埋めとなった場合に、スマートフォンから、TwitterをはじめとするSNSを使って「#救助(ハッシュタグ・救助)」で助けを呼んだり、被災地の情報を拡散したり、という行動が多く見られます。
便利なSNSですが、非常時の利用に関する注意と、活用のポイントについてご紹介いたします。(※当記事は、2017/07/06に放送された日本テレビ「ニュースゼロ」でお話しした内容の補足にもなっております。)
#救助 についてのポイント
なんでもかんでもSNS(Twitter)へ投稿すればよいということではない。
近年、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)など、SNSを使って災害時に救助を求めたという話題を、テレビやWebのニュースでよく見かけます。しかし、SNSが実際の救助につながるかといえばその保証はなく、とにもかくにも「#救助」をすればよい、というものではありません。
まずは自力で119番、それがダメならLINEで家族や知り合いに救助要請を。
自分自身や目の前の誰かが救助を必要としている場合、基本は常に「119番」による消防への通報です。119番通報は、救急車や消防車の出動依頼だけでなく、事故や災害による救助要請の際にも使われることを目的に設置されていますので、安心して…というと語弊がありますが、とにかく自然災害に巻きこまれた時には119番通報をしてください。
仮に、「#救助」で助けを呼んだとしても、そのツイートを見た方が助けに来るということはなく、基本的には、そのツイートを見た方が119番通報をして、消防による救助が行われることになります。ツイッターに書き込みをするヒマがあるならば、つながるまで119番に鬼プッシュを繰り返し、助けを呼ぶのが最短コースです。
119番につながらない場合は、家族や知合いへLINEを
一方、大規模災害により電話回線が輻輳…パンク状態となり、119番につながらない場合。あるいは自分の手元にあるスマートフォンやタブレットが、wifiなどの電波しか拾うことができず、電話をかけることができない機種である場合は、他の方法で救助を呼びます。
この時最も良い方法は、LINE(ライン)をはじめとするメッセンジャーアプリを使って、家族や知合い、自分を知っている人に「救助を呼んでもらう」ことを依頼することです。SNSの「#救助」で「誰か助けてください」と、どこかの誰かを頼りにツイートするよりも、具体的に行動してくれる人に「このままだと死ぬから、119番にかけて、消防を呼んで!」と救助依頼の依頼をしましょう。
「#救助」は家族や知人とも連絡が取れない場合の、最終手段
SNSによる「#救助」は、最後の手段です。
- 電話が使えないが、インターネットにはつながるという状況であること
- 天涯孤独または頼れる身内が存在しない、あるいはつながらない
ここまできて、はじめて「#救助」が役立つ可能性があります。とにかく基本は…
- まずは自力で119番へ救助要請
- 次にLINEやメッセンジャーで家族や知人に救助要請
- 上記がダメならSNSを使って不特定多数に救助要請
という順番を意識することが重要です。日頃、電話よりもSNSを使う機会の方が圧倒的に多い、と言う方は多くいると思います。しかし「#救助」を拾ってくれた方がいたとしても、その人が救助に来る訳ではなく、結局は119番通報を肩代わりしてもらうことになります。命の危機が迫っている場合は、まず最短時間で119番通報をするようにしましょう。
#救助 要請をする場合のポイント
TwitterやfacebookなどのSNSで不特定多数に救助要請をする際には、いくつかポイントがあります。
- デマやイタズラだと思われないように、詳細な情報を記載すること。そのため、
- 救助先の住所、可能ならば位置情報、目印
- 救助を求めている人数、病人や怪我人・災害弱者などの有無と人数
- 周囲の状況、緊急の度合い、接近する際に注意すること
- 上記が分かる写真
- #救助 をつける
- など、できるだけ詳細な情報を投稿することが必要です(無論そういった余裕がない場合はとにかく投稿を完了させることが最優先になりますが)。
救助された後に行うべきこと
無事救助された、あるいは状況が落ち着き救助が不要になった、といった場合は、速やかに「救助が不要になった旨の書き込み」をした上で、「救助投稿を削除」することが重要です。これを行わなければ、いつまでも要救助状態が続き、不要な情報を拡散させ続けることになってしまいます。
#救助 情報を拡散する際に気をつけること
また逆に、救助投稿を拡散させる際にも注意が必要です。ポイントとしては、
- 救助を要請しているアカウントを見て、それがイタズラでないことを確認すること
- 同じく元のアカウントをみて、もう救助されていないかどうかを確認すること
- 公式のRT(リツイート)やシェア機能を使用すること
後者については、救助が完了した後に必要な対応です。公式のRTやシェア機能を使って拡散した場合、大元の投稿者が無事救助されて救助が不要になり、救助投稿を削除すると、関連するRT情報も併せて削除され、それ以上不要な拡散がされることを防ぎます。
自分で救助コメントをコピペして拡散する「非公式RT」を行うと、大元の救助投稿が削除されても自分が投稿したコメントは消えないため、いつまでも不要な救助要請が拡散することになり、情報を混乱させてしまいます。
Twitterの場合、現在は「リツイート」「引用リツイート(自分のコメントを入れてRT)」の2種類があるので、従来「非公式RT」でしかできなかった「自分のコメントを入れてRT」したい場合は、公式の「引用リツイート」を使う様にしましょう。
災害時情報を拡散・シェアする際のポイント
不特定型のSNSは救助要請よりも支援情報のシェアの方が向いている
一方、#救助ではなく、被災地の情報、避難所の情報、支援の情報などをSNSで拡散させる場合のポイントはどう考えるべきでしょうか。SNSによる不特定多数に対する情報拡散は、「エリアが狭くニッチな情報を」「誰でも自由に」「好きなだけ詳細を付け加えて」配信するコトができるため、救助など一分一秒を争う情報拡散よりは、被災後の情報をゆっくり必要な人へ届ける用途でつかう方が向いています。
支援情報をシェアする際にはデマやイタズラの拡散に注意する
ただし、例えば2016年の熊本地震の際に、「ライオンが逃げ出した」という悪質な情報が拡散された事例がありましたが、デマ(善意のデマ・悪意のデマ共に)やイタズラ情報を拡散しない様にすることが重要になります。
SNSが使えるということは、インターネットにもつなげるはずです。そのため、SNSから得られる情報だけで完結させるのではなく、SNSはあくまでも「速報」として取り扱い、SNSで知った情報を、気象庁やNHKといった信頼できる媒体で確認し、イタズラでないことを確認してから拡散させると安全度は高まります。
※もちろん緊急の情報、またはエリアが小さすぎて公的機関の確認が取れない情報の場合は、ある程度自己判断で拡散させていく必要もあります。ただこの場合も、元のアカウントをチェックして、信頼できそうな投稿かどうかを最低現確認しましょう。
上手く使えば災害時にSNSは強力な情報発信・収集源になる
テレビやWebメディアは、一避難所単位、一個人単位の情報を扱うことはできません。しかしSNSであれば狭いエリアの情報、ごく限られたニーズに関する情報を広い範囲に届けることが可能です。自分や家族が災害弱者になりがちな場合は、こうしたSNSを活用して支援を要請するというのも1つの方法です。
以上