強烈寒波と大雪、行うべき対策と準備・買う物は?
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執筆者:高荷智也
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当記事の内容をアップグレードし、下記に専用のコーナーを設置しました。あわせてご覧くださいませ。
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- 大雪や低温で街中に生じる被害の種類
- 大雪による停電への備え・豪雪時の停電対策
- 水道管の凍結対策(温暖地域・寒冷地域別の詳細)
- 雪が少ない地域の雪かき・雪下ろしの方法と注意
- 雪が少ない地域の自動車の雪落としについて
行うべき備えと事前対策は「外出しない準備」
大規模な寒波や大雪には「外出をしないための準備」が必要になりますが、これには2つの目的があります。ひとつは外出をすることによるケガや事故を防ぐことです。凍結した道路や雪道を歩き慣れておらず積雪用の靴もない場合、転倒して思わぬケガにつながる可能性があるため、外を歩かないようにすることが重要です。
もうひとつは「外出をしても物が手に入らない」状況に備えることです。普段雪が降らない地域で大量の降雪が生じると、停電や交通網のマヒで流通が止まり店舗に商品が入らなくなります。コンビニやスーパーでなにも買えない、という事態が生じる可能性があるため、備蓄をしておくことが必要になります。
ただし、備蓄品の積み増しをする際に「買い占め」をすることは絶対に止めてください。寒波や降雪は永続的なものではありませんので、数日間の備えがあれば十分です。なお日頃からの防災対策でいえば、南海トラフ沖地震に向けた防災備蓄や、強毒性の新型インフルエンザに対する自宅籠城への備えなどがそのまま転用できます。
食料品の確保
調理しなくても食べられるものを準備
停電で調理ができなくなった場合に備えて、そのまま食べられるものを用意しておきましょう。パン類、菓子類、シリアル類、果物類などが適当です。非常食でおなじみの缶詰やレトルト食品は、極寒の中では極めて食べづらいため、カセットコンロなど停電しても使える加熱調理の手段がなければ避けましょう。
同じくカップ麺などのインスタント食品や、非常食として売られているアルファ米などは、食べる際にお湯(または水)が必要になりますので、カセットコンロなどとあわせて準備するか、後述の「お湯の準備」で対応しましょう。また水道管の凍結に備えて、ボトルに詰めた水やペットボトルのお茶を用意しておくと安心です。
パンや果物、お茶類を用意した場合は、凍結しないように毛布などをかぶせておくか、冷蔵庫に入れておくなどの対策を取っておくとよいでしょう。なお、寒波は一時的なものですので、最大でも3日分程度の蓄えがあれば十分です。混乱を生じさせる元になりますのでくれぐれも買い占めはしないようにしてください。
停電しても使える調理器具及び燃料を準備
カセットコンロとガス、上にものが置けるタイプの灯油ストーブと灯油など、停電時に使える調理器具を準備しておきましょう。調理器具があれば、家庭にある食材を使って普段通りの食事を用意することができます。カセットコンロは1本で約60分使えますので、家族世帯であっても数本あれば十分です。
なお、寒冷地仕様ではないカセットガスボンベは、室温がおおよそ氷点下になるとガスが出なくなりますので、ボンベを温めてから着火してください。カセットコンロやカセットガスストーブには「ヒートパネル」がついているため、一度火がつけば気温が低くとも燃焼し続けてくれます(冬場のカセットガスボンベ使用についてはこちらにまとめてあります)。
またホームセンターやネット通販で発熱剤セット(モーリアンヒートパックなど)があれば、レトルト食品や缶詰などを火を使わずに温めることができますので、少量を買っておいてもよいでしょう。使い捨てですが停電時には役立ちます。使用しなければ地震対策など他の防災用に備蓄しておきましょう。
魔法瓶にお湯を準備しておく
気温が下がる前の晩に、あらかじめ魔法瓶にお湯を沸かしてつめておき毛布などで巻いておきましょう。停電や断水が生じてしまった場合に、お茶を入れたりインスタント食品を食べたりすることができます。
水道管の凍結について
外の気温がおおむねマイナス4度以下まで低下すると、水道管の中の水が凍ってしまう可能性があります。この場合水が出なくなったり、最悪の場合水道管が破裂する恐れがありますので事前対策が必要です。普段使わない屋外の水道管や蛇口についても、破裂をおこして水が漏れてしまうと、家中の水を止める「止水栓」を閉めることになってしまうため、対策が必要になります。
布を巻いて凍結
庭や屋外に設置してある散水用の蛇口や、むき出しになって外気に触れる状態になっている水道管は特に凍結の恐れがありますので、タオルや布、毛布などを巻き付けて保温しておきましょう。また雪が予想されている場合はかぶせた布などが濡れないようにビニール袋などをかぶせると効果が高まります。
水道のメーターボックスにも対策を
また各家庭に設置してある水道のメーターボックスについても、水道管がむき出しになっているため対策が必要です。敷地内のどこかに四角いフタで覆われた金属製の箱があるはずですが、ここに水道メーターと止水栓が入っています。ここは外気に触れるようになってますので、タオル・新聞紙・砕いた発泡スチロールなどを袋に入れて、断熱材代わりに埋めるなどすると凍結防止になります。
水を出し続けて凍結対策
蛇口から水を出し続けることも凍結防止として有効です。家中全ての蛇口から水を出しっ放しにすることは難しいため、風呂場の浴槽など、水を受けられる場所の蛇口のみ少量の水を出し続けておくとよいでしょう。なおこの際には、風呂場の窓などは全て閉じて冷気が入ってこないようにします。
断水や凍結に備えて風呂に水を張っておく
また浴槽に水を溜めておけば、万が一水道管が凍結してしまった場合に、トイレ用の水などに用いることができますので、風呂の水は抜かないようにしましょう(これは地震対策としても有効です)。風呂の水をわずかに出し続ける対応とあわせて行えば効果的です。
水道管が凍結した場合はゆっくり解凍を
なお、もし水道管が凍結してしまった際、凍った場所にお湯を直接かけると膨張して破裂する恐れがありますので、該当箇所にタオルなどを巻いてから、ぬるめのお湯を少しずつかけるようにしてください。また室内の暖房を付けて温度を上げ、自然解凍を促進させるなどの対応も効果的です。
停電時の照明について
停電に備えて明かりを用意しておくとよいでしょう。ただし、ロウソクではなくて懐中電灯と予備の電池を準備するようにしてください。万が一火災が生じた場合、積雪がひどいと消防車が出動できない恐れがあるため、非常時用の明かりに裸火を用いることは避けてください。
この際LEDランタンなどがあれば便利ですが、懐中電灯しかない場合は懐中電灯をビニール袋で覆うなどすると、光が乱反射してランタン代わりに使えますので便利です。詳しくはこちらでも解説しています。『懐中電灯に一工夫、明るいランタンの作り方』
外出時の注意・交通網の停止に備えて
徒歩で外出する際は体を守るものを身につける
徒歩で外出をする際には、歩幅は小さく、ゆっくりあるいて転倒を防ぎます。また寒波の中を薄着で外出する方はいないと思いますが、厚着・帽子・手袋・マフラーなどで体を覆い、万が一転倒してもケガなどを避けるような格好をしましょう。
自動車で外出する場合は装備に注意
公共交通機関の多くが停止する可能性がありますので、どうしても外出が必要な場合は複数のルートを検討しておく必要があります。また自家用車を用いる場合、少量の雪であってもノーマルタイヤだけではまともに運転することはできませんので、絶対に避けてください。翌日絶対に外出が必要な場合は、タイヤ用のチェーンやオートソックなどを準備しておくか、前日のうちに移動を済ませておきましょう。
雪の中で停車する場合はマフラー周りの除雪を確認
自家用車で外出中に大雪で身動きが取れなくなった場合、エンジンを掛けたまま車内にとどまる場合は、一酸化炭素(CO)による中毒に注意します。エンジンを掛けた状況で自動車後部のマフラーが雪に覆われると、車内に一酸化炭素を含む排気ガスが逆流して死亡事故につながる可能性があるためです。このような場合は定期的にマフラー周りを除雪しつつ、念のためわずかに窓ガラスを開けておくようにしましょう。
体調管理(ヒートショック)に備える
短時間に体温の上がり下がりが繰り返されると、血圧が急激に上昇・下降を繰り返し、特に高齢者や高血圧の方の体に大きな負担がかかり、場合によっては突然死などが生じる可能性があります。これを「ヒートショック」と呼びますが、特に暖かい部屋から寒い風呂場の脱衣所へ移動し、すぐに熱い湯船に入る場合などに起こりやすいのでご注意ください。あらかじめ脱衣所を暖めておくなどの対応が有効です。