Voicyそなえるらじお #1014 サルのポーズもダンゴムシのポーズも家が潰れれば死ぬお話
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、1月23日(木)、本日も備えて参りましょう!
大人の責任を果たす
本日は「サルとダンゴムシ」のお話です。
子供に対する地震対策の教育において、お猿のポーズやダンゴムシのポーズの話をすることがあります。
サルとダンゴムシ
大地震の揺れに見舞われた際、目の前に机があるならばそれに潜り込み、両膝を床につけて、机の脚を両手で持つ。頭上からの落下物などから頭を守るための対策ですが、格好が猿に似ているので「サルのポーズ」という名称がつけられています。
一方、机が無いときには倒れてきそうな棚など、危険な物にお尻を向けて、膝と足の甲を床につけて小さく丸くなり、両手で頭を守る姿勢を取ります。どうしようもない時の最後の手段ですが、丸くなる姿がダンゴムシに見えますので「ダンゴムシのポーズ」という名称がつけられています。
いずれも、大地震が生じた際、突差に取るべき行動ととして子ども達に教える防御姿勢ですが、サルのポーズもダンゴムシのポーズも有効なのは、あくまでも耐震性のある建物の中におり、家具や家電が転倒してこない場所に限られるという前提があります。
子ども達が机に潜ってサルのポーズをしたり、その場で身を小さくしてダンゴムシのポーズをしても、建物が倒壊したり重たい家具が直撃すれば、サルやダンゴムシは即死します。まずは建物と室内の安全対策を万全にした上で行うのが、こうした安全ポーズなのです。
揺れる前に生死が決まる
大地震は予知ができません。緊急地震速報も直下型の地震の場合はほぼ間に合いません。そのため、事前対策の有無がそのまま生死に直結します。大地震の揺れから身を守る考え方を学ぶために、サルのポーズやダンゴムシのポーズを子どもに教えるのはよいのですが、大人までこのポーズを取ることで地震対策を終わらせようとしてはいけません。
大人の責任は、大地震の直撃を受けても潰れない建物のなかで、家具や家電の固定をしっかり行い、その中に子どもたちをいれるようにすることにあります。
大地震は恐ろしい自然現象ですが、揺れそのもので人が死ぬことはほとんどありません。揺れで建物が倒壊して、家具が転倒して、家電が衝突してきて、荷物が落下してきて、これらに巻きこまれて人は命を落とします。地震の揺れではなく構造物が人を死なせる、地震の揺れによる被害は全て人災と言えます。
人災であれば防ぐことができます。耐震等級3の建物を建てる。転倒するような家具を置かないか、きちんと固定する。荷物が降り注がないような物の置き方をする。これで地震の揺れによる被害をほとんど無くすことができます。運動場の真ん中で大地震に見舞われても、特に被害はありません。
また、耐震等級3の建物の中で室内対策を万全にしていれば、地震が来てもとくに慌てる必要はなく、揺れが収まるまでその場でおとなしくしていればよいのです。短期的な防災対策として、サルのポーズやダンゴムシのポーズを学ぶことは重要ですが、長期的には全ての建物を頑丈にし、内部の安全確保を当たり前にする、こうした対策をまずは徹底することが重要です。
大人の責任は、子どもに猿やダンゴムシのポーズをさせることではありません。こうしたポーズを取らなくても、なにもしなくても、地震で死なない環境を作ることにあります。地震対策は事前対策が9割、改めてお考えください。
本日も、ご安全に!
本日は「サルとダンゴムシ」のお話でした。
それでは皆様、次回の放送まで、どうぞご安全に!