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Voicyそなえるらじお #1010 生放送…30年目の阪神・淡路大震災から伝える最も大切な教訓

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #1010 生放送…30年目の阪神・淡路大震災から伝える最も大切な教訓

おはようございます。1月17日、ただ今の時刻は早朝5時46分です。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から、いまちょうど30年をむかえました。改めて、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、その後の30年間で不自由な生活をされている皆様が、早く元の生活に戻れますことを願います。

Voicy「死なない防災!そなえるらじお」、本日は大地震が発生したこの5時46分より、阪神・淡路大震災のお話をしたいと思いますが、生放送の収録にてお届けいたします。

1995年1月17日 5時46分

ちょうど30年前の本日、1995年(平成7年)1月17日、早朝5時46分、兵庫県の淡路島北部を震源とする、深さ16キロ、マグニチュード7.3、最大震度7を観測する大地震が発生しました。兵庫県南部地震の発生と、この大地震による阪神・淡路大震災の発生です。

震災関連死を含む死者は6,434名に達し、建物の全壊10万棟、半壊14万棟、全体では50万棟の建物が被害を受け、大規模な地震火災では7,500棟の建物が焼失する、まさに大震災に発展しました。改めのこの地震から得られる教訓、今改めて生かすべき対策について考えたいと思います。

建物の耐震化

阪神・淡路大震災で亡くなられた方の9割近くが、建物の倒壊や家具の転倒に巻きこまれて圧迫死・窒息死です。特に建物倒壊による被害が深刻でしたが、被害の大部分はいわゆる「旧耐震基準」の建物に集中していました。

1981年の建築基準法改正で、新耐震基準が生まれていますが、1995年当時はこの改正からまだ14年目で、多くの住宅が旧耐震基準の建物でした。実際、旧耐震基準の木造住宅の60%以上が大破・倒壊、無傷だった建物は6%にすぎず、この時点で旧耐震基準の建物の危険さが指摘されていたことになります。

この状況は30年が経過した現在でもまったくかわっていません。大きな被害を出した直下型の地震、2016年の熊本地震や、2024年の令和6年能登半島地震でも、耐震化リフォームなどを行っていない、旧耐震基準の建物の多くが大破・倒壊しています。

建物が潰れれば人が即死します。また潰れた建物は火災の燃料となり、地震火災を広げる原因となります。倒壊した建物が道路をふさげば避難もできなくなります。地震対策の最重要事項は建物を潰さないこと、建物の耐震化を進めることが重要だということは、阪神・淡路大震災で強く得られた教訓であり、現在においても最優先な対策である言えるのです。

また阪神・淡路大震災から30年が経過し、当時は新しかった新耐震基準の建物の多くが、現在古い建物になりはじめています。熊本地震や能登半島地震でも、新耐震基準の建物被害が生じはじめており、今のところどのような地震にも耐えられる建物としては、2000年以降に始まった制度、住宅性能表示制度で示される、耐震等級が3の建物しかありません。

耐震等級3の建物は、新耐震基準の建物の1.5倍の耐震性を持っています。実際、直近の震災でも、耐震等級3の建物が大きな被害を受けたという実績はなく、ほぼ全ての建物において、そのまま生活を継続できる状況となっています。これから家を建てる、引越しをする、という機会があるならば、ぜひ耐震等級3の建物を選ぶということを、お考えいただきたいと思います。

命を守るという意識について

さて、本日1月17日、阪神・淡路大震災から30年目をむかえるにあたり、NHKでは被害の大きかった地域に住む約2000人を対象にアンケートを行いました。その中のひとつをご紹介したいと思います。

NHKアンケートhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20250115/k10014688891000.html

アンケートでは様々な質問がなされていますが、私が特に注目したのが、「震災の教訓として特に大切だと思う物を1つ選んでください」とうアンケートです。各種の項目の中で最も多かったのが、全体の43%が回答した「水や食料などの備蓄」が最も大切な教訓という回答。次に多かったのが、全体の20%が回答した「家屋の耐震化」が最も大切な教訓という回答です。

これは、いわゆる生存者バイアスという影響を考慮する必要のあるアンケート結果です。このアンケートに回答された方々は、当然ながら震災を生き延びて、本日まで無事に生活されている方々です。震災から30年、その後も地震や水害が相次いでいる状況ですので、水や食料などの備蓄が最も大切だと回答されるのは分かります。

一方、もしこのアンケートを、1995年1月17日に、家屋の倒壊などに巻き込まれた亡くなられた5000名近い死者の方々に聞くことができたら、何が最も大切な教訓だと回答されるでしょうか。恐らく、間違いなく、家屋の耐震化こそが最重要とお答えになると思います。

防災で最も大切なことは、命を守る準備をすることです。地震対策の場合、建物を潰さないこと、家具転倒に巻きこまれないことが最重要です。被災者の声を聞く際には、生き延びた方の声だけではなく、災害で命を落とされた方々の声、天国インタビューをして、事前に何をしておけば、死なずにすんだのか、これを想定することが何よりも重要です。

ということを、伝えて行く教訓として、ぜひ認識していただきたいと思います。

本日も、ご安全に!

本日は「阪神・淡路大震災」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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