Voicyそなえるらじお #922 停電時の湯沸かしは「カセットこんろとポタ電」どちらがよい?
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月3日(火)、本日も備えて参りましょう!
大きなソーラーは強い
本日のテーマは「停電時の湯沸かし・食品加熱」のお話です。
今回はコメント欄にいただいたご質問への回答、質問をくださいましたのは「遅咲きグッボーイ」さんです。
『災害でガス、電気が止まった時に例えばアルファ化米をお湯で戻すとします。ポータブル電源があったとして電気ケトルでお湯を沸かすのと、カセットコンロでお湯を沸かすのはどちらが推奨ですか?ポータブル電源の大きさや備蓄しているカセットガスにの本数によって変わるとは思いますがアドバイスを聞きたいです。』
住宅用ソーラーは強い
停電や断水などライフラインが停止した状況において、お湯を沸かしたり食品を温められたりする手段があると、被災生活のクオリティが大幅に上昇しますので、カセットこんろやポータブル電源の準備は大変重要です。
ではご質問のように、カセットこんろとポータブル電源が両方ある場合に、どちらを使うのが良いでしょうか。これは、その他にどんな機器があるのかによって変わります。
例えば、住宅用のソーラーパネルがある場合、晴れていれば最大1500Wまでの電力を無限に供給できますので、この場合は電気ケトルや電子レンジを使用した湯沸かし・食品の加熱が有効です。
晴れている時間帯であれば、緊急用のコンセントから直接電気ケトルや電子レンジを使用しても良いですし、または1500W以上の出力が得られるポータブル電源があれば、これを充電しながら家電を使用してもよいです。
逆に言えば、住宅用ソーラーパネルがある家であれば、晴れた日中の間に炊事炊飯などを全て済ませると、燃料消費を気にしなくてよいのでいいですね。
モバイルソーラーは
一方、ポータブル電源と小型のソーラーパネルの組み合わせだとどうでしょうか。例えば両手を広げたくらいの大きさの、100Wのソーラーパネルがある場合、ざっくり計算ですが2時間ほど晴れた屋外においておけば、電気ケトルや電子レンジを5分程度動かせる程度の電力がたまります。
もちろん、ソーラーパネルが大きければ、もっと短時間で電気を貯めることができますが、小型のソーラーパネルで電気ケトルや電子レンジの消費電力をまかなうのはなかなか大変です。他に電気を使用する目的がある場合は、高出力の家電の使用は控えて、他の加熱手段を準備した方がよいでしょう。
カセットこんろはいいぞ
カセットこんろとガスがある場合、最大火力で60分程度燃焼させることができますので、1日に複数回の湯沸かしや食品の加熱を行うことができます。電気は湯沸かしや食品加熱以外にもいろいろな用途で使えますが、ガスは基本的に加熱がメインの役割となりますので、カセットこんろがある場合、煮炊きはカセットガスを使った方がよいです。
あるいは、カセットガスを使用する発電機を併用する方法もあります。先日YouTubeそなえるTVで、EENOUR(イーノウ)のカセットガス・ガソリン2WAY発電機のレビューを行いましたが、最も効率よく発電機を動かした場合で、カセットガス1本で得られる電力量は500Wh程度でした。
これで直接1300Wの電気ケトルや電子レンジを動かすと、ざっくり23分動かせる計算になります。カセットガスボンベを電気に変換すると23分、そのままカセットこんろにセットすれば最大火力で60分、ということを考えると、電気にせず直接燃やして湯沸かしや食品の加熱をしたほうが良いことになります。
ということで、住宅用ソーラーのように1500Wクラスの電力を自給できる環境があるならば、日中に電気ケトルや電子レンジを使う。そうした設備がなければカセットこんろを使うのが良さそうです。
本日も、ご安全に!
本日は「停電時の湯沸かし・食品加熱」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!