Voicyそなえるらじお #973 青森…陸奥湾の地震活動と十和田火山の火山性地震のお話
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月25日(月)、本日も備えて参りましょう!
常に備える
本日のテーマは「青森周辺の地震・噴火」のお話です。
先日、2024年11月16日(土)以降、青森県の陸奥湾で地震活動が活発化しています。現在のところ最大の地震は、11月20日に発生したマグニチュード5.1、深さ10km、最大震度4を観測したものです。この地震活動は現在もまだ継続しております。本日はこの地震・噴火に関するお話です。
青森の地震
青森県は、大地震の回数が少ない地域です。気象庁の震度データベース検索でさかのぼれる、1919年から2024年までの105年間の間に、青森県内で震度6弱以上の強い揺れを観測したことはゼロ回です。2011年の東日本大震災の際も、県内の最大震度は5強でした。
また、青森県内で震度5弱以上の揺れを観測した地震は、この105年間で28回発生していますが、多くは太平洋側のプレート境界で生じた地震で、青森県直下で生じた地震では大地震に見舞われたことがありません。このような地域で、すこし大きな地震が連続しているため、直近で注目が集められています。
今回の地震活動が生じている陸奥湾では、直近105年間で大地震は生じていません。もっとも大きかったのは、1934年10月30日に発生した、マグニチュード5.5、最大震度2を記録した地震です。
ところで、1934年当時は地震計の数が少なく、青森県内には青森市にしか地震計が存在せず、震源近くの震度は不明となっています。おそらく現在と同じレベルで地震計が存在していれば、1934年の地震でも震度4から5が観測されていたと思われますので、あらゆる地震に共通しますが、時代をさかのぼって地震活動の確認をする際には、震度ではなくマグニチュードで確認をすることが重要です。
今後の地震は
青森の地震活動は、今後どのようになるのでしょうか。結論から言えば分かりません。この後終息するかもしれませんし、一連の活動が前震となり、この後大地震が発生するかもしれませんが、いずれも予知はできませんので、今できることは「常に備える」ということ以外にありません。
陸奥湾の周辺には、青森湾西岸断層帯と、津軽山地西麓断層帯という2つの活断層があることが分かっています。いずれもマグニチュード7クラスの地震につながる大きな断層ですが、過去の地震活動の状況についてはよく分かっていないため、これらの断層が将来いつ動いて大地震をもたらすのか、それが明日なのか1万年先なのかは発生するまで分かりません。
十和田湖の火山活動
陸奥湾周辺での地震活動と合わせて、もうひとつ近隣で生じているのが青森県と秋田県の県境に位置する十和田湖で生じている、火山性地震の増加です。十和田湖は火山の噴火で生まれたカルデラ湖で、現在は十和田火山として24時間体制での観測が行われています。
十和田火山は、過去に超巨大噴火を生じさせたこともある、いわゆるエリート火山です。直近1万年ほどでは、1000年から3000年間隔で大きな噴火を生じさせていて、直近では1109年前、平安時代の915年に大きな噴火が発生していますが、実はこの噴火は日本の有志以降でも最大規模の噴火でした。
このレベルの噴火が生じると、十和田湖周辺10キロから20キロ圏内に火砕流が到達して全てが燃やされた後に埋められ、さらに東北北部の広範囲に火山灰が降りつもり、甚大な被害が生じる恐れがあります。このレベルの噴火は、いつ生じてもおかしくない時期になっており、十和田火山の噴火活動は常に観測されているのです。
では、直近で生じている火山性地震の増加は、こうした噴火活動につながるモノなのでしょうか。現在のところ、気象庁は噴火警戒レベルの引き上げなどは行っておらず、十和田の噴火警戒レベルは平時と同じ1です。一方で今後の推移は不明で、このまま沈静化するか、あるいは噴火につながるかは、実際にそうならなければ分かりません。
常に備える
ということで、陸奥湾での地震活動、十和田での噴火活動、いずれも今後の状況は分かりません。何とも無責任な話だと思われるかもしれませんが、現在の地震学・火山学においては結局、常に備える以外の対処を行うことはできません。
こうした地震、噴火が生じることがあるのだ、ということを認識した上で、家庭や職場の地震・噴火対策の見直しをしていただくことが、いまできることになります。できる範囲で備えを行い、あとは楽観的に構えましょう。
本日も、ご安全に!
本日は「青森周辺の地震・噴火」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!