Voicyそなえるらじお #968 11月18日は土木の日…治水の進歩による安全と危険のお話
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月18日(月)、本日も備えて参りましょう!
土木大好き
本日のテーマは「土木と治水」のお話です。
本日11月18日は土木の日です。土木技術や土木事業に親しんでもらうことを目的として、1987年(昭和62年)に土木学会により提供された記念日です。由来は2つありまして、「土木」の2文字を分解すると、十一と十八という数字になること。また土木学会の前進となる「工学会」の創立が、1879年(明治12年)11月18日であることから、毎年11月18日が「土木の日」と制定されました。
日本だけでなく、人類の歴史は土木の歴史です。水を治め、農地を開拓し、山を削り、谷を埋め、都市を造り、文明を発展させてきました。特に日本のような稲作中心の国の場合、田んぼを開発するためには水路の整備が不可欠で、水路を整備するためには河川の治水が必要で、川に水を得るためにはため池が必要で、という形で、新田開発の歴史がそのまま国土発展の歴史になっています。
ところでこの土木による治水、特に近代以降、ダムを造り、堤防を築き、都市部の排水路を整備することで、多少の大雨では水害が発生しないようになっています。自分が住んでいる地域においても、昔は大雨のたびにちょこちょこ溢れていて河川や用水路が、最近はまったく氾濫しなくなったなと感じることはないでしょうか。
都市部における治水の進化は、小規模な水害をなくしています。一方、どれほど治水がすすんでも、排水路が整備されても、想定されている以上の大雨が降れば、排水が追いつかなくなり氾濫を起こします。これにより生じる問題が、初めて遭遇した水害がいきなり過去最大級のスーパー水害という問題です。
数年おきに、甚大な被害にはならない程度の水害が生じていると、意識が高まります。事前対策にも熱心になりますし、避難に関しても前向きとなります。しかし、治水のおかげでこうした小規模な水害が全く生じなくなると、どうしても油断が生じます。この地域は安全、この巨大堤防が完成してから水害は起きなくなった。
これは良いことなのですが、それでも大雨の量が想定以上となれば、その巨大堤防が決壊し、しかもコントロールしている水の量も膨大ですので、最悪の水害に発展します。油断が生じていた地域に、過去最大の水害が生じればどうなるか、多くの逃げ遅れなどが生じて甚大な被害となる恐れがあります。
土木技術の進歩は、私たちの生活を安全で快適なものにしてくれています。しかし、自然現象による災害がなくなるわけではありません。可能性がある災害はいつの日かかならず生じる、ということを考えた上で、防災意識の継続をしていきたいところです。
本日も、ご安全に!
本日は「土木と治水」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!