Voicyそなえるらじお #953 10月24日「文鳥の日」に考えるトリの防災…食事と寒さ対策を
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、10月24(木)、本日も備えて参りましょう!
鳥さんの防災
本日のテーマは「鳥の防災」のお話です。
毎年10月24日はトリの「文鳥の日」です。ペットの防災対策として犬や猫のお話はしたことがありますが、トリさんの防災については考えたことがありませんでしたので、本日はトリの防災に関するお話です。
文鳥の日
ということで…毎年10月24日は「文鳥の日」、10月24日の語呂合わせで、「テン・に・し」→「手に幸せ」で文鳥の日だそうです。2005年に制定された記念日で、来年で20年目となります。文鳥の日を制定したのは個人の方で、文鳥に関する多くの書籍やカレンダーなどを執筆されている伊藤美代子さんが制定されたということです。
文鳥は人間にもなつきやすいトリさんですが、日本では江戸時代の初期頃から輸入されて飼育されてきたという記録があります。おとなしい性格で、ギャアギャアと泣きわめくこともなく、においもすくないということで、飼育されている方も多いトリではないかと思います。文鳥、かわいいですよね。
まずは基本の防災を
そんな文鳥をはじめとするトリたちですが、防災はどのように考えるのがよいでしょうか。まずは基本的な対策が必須となります。ペットがいてもいなくても、またペットが犬でも猫でもトリでも文鳥でも…
①大地震の揺れで即死しない建物と室内の安全対策
②津波・水害・火災などから逃げるための避難計画
③電気ガス水道などが止まった状況で生活をする防災備蓄
などの対策が重要です。
特に、自宅に留まれるようにすることが重要で、ペットを連れて屋外や避難所へ移動することは大変難易度の高い行為です。日本の避難所は、犬も猫も鳥も、ペットを一緒に連れて行く同行避難が原則ですが、まず避難所までトリさんを連れて行くことが大変ですし、避難所にたどり着けてもトリと同じ空間で生活をする同伴避難ができるとは限りません。
特に体育館のような広い空間では、動物アレルギーなどを持っている方への配慮が必須となるため、連れて行ったペットはどこかの部屋や建物の軒下などにまとめてつながれる可能性が高くなります。地震で潰れない家、津波や水害で沈まない家に住み、避難をしなくてよい環境を整えることが重要になります。
どうしてもトリさんを連れて避難をする場合は、持ち物がかなり多くなりますので相当な準備と覚悟が必要です。トリの生活空間として普段使用しているケージを持っていくことになりますが、避難時は道路などもメチャクチャになっている恐れもあるため、基本的に手に荷物は持たず、リュックなどで背負うことが基本となります。
トリさんのケージについても、背負子などを使って背負って持って行くことになりますが、一人で連れて行く場合は他の荷物がほとんど持てなくなるため、トリの生活用品や人間の生活用品を持ち込むことが難しくなります。大地震による津波などの突発災害時は最悪の場合、トリをおいて逃げざるを得ない状況もあり得ますが、水害避難の場合はできるだけ早めに行動を開始し、自動車やタクシーで避難所へ移動するような準備が必要になります。
そして、こうした避難が大変だなと思う場合は、やはり逃げなくてよい場所にすむしかないということで、避難所へ行くことが大変な家族がいる場合は、とにかく住居選びが最重要の防災になるということになります。
トリの防災
トリさんに特化した防災としてはどのような準備が必要でしょうか。ポイントとしては、水とご飯の準備、暑さと寒さ対策が特に重要です。
私はトリを飼育したことがありませんので、このお話はトリの飼い主の方の方が詳しいと思いますが、小鳥は食べ物の消化が早く、少量の食事を日に何度もとりますが、1日から2日程度絶食すると餓死することがあるそうです。そのため、災害時にもマメに食事を与えられるような準備が必須となります。
トリさんのご飯やおやつは普段から多めに在庫を持ち、1~2週間程度は買い物に行けなくても大丈夫なようにする。外出時に被災して人が自宅に戻れなくなった場合に、餌やりをしてくれる人や環境を確保する、どうしてもトリさんを置いて避難する場合は、たくさんのエサをケージや室内に開封してから逃げるなど、とにかくご飯を切らさないための計画と準備が必要です。
また、トリさんは体温維持が苦手な動物で、文鳥の場合は常に20度から25度程度の温度を維持する必要があります。インコなどは室温が5度以下になると命にかかわることもある様ですので、冬場の災害で停電などが生じた場合に、室温を維持、あるいはトリを温める方法を用意する必要があります。
人間も寒いと凍死しますので、まずは石油ストーブなどを準備して室内を暖められる対策を。灯油の備蓄が難しい場合はカセットガスストーブの使用も考えられます。部屋全体の暖房が難しい場合は、トリの周囲だけでも温める準備が必要です。トリのケージにカバーなどをかけて冷気を遮断、そうしたものがなければ毛布、ぷちぷち、ビニール袋などをかけて保温。ただし窒息には注意してください。
ポータブル電源を準備すれば、小型のヒーターなどを使用することができます。容量1000Wh程度のポタ電と、出力20Wの小型ヒーターを組み合わせた場合は、おおよそ30時間程度の稼働が可能です。電力を節約する場合は、充電式のカイロをトリさんの近くに置く方法もあります。温度調整ができないタイプの物は、トリが低温火傷をしないように、直接肌に触れないように工夫が必要です。
使い捨てカイロを使用する場合は、密閉空間に使い捨てカイロを入れると周囲の酸素を吸い取ってトリが窒息しますので、かならず換気するようにしてください。
トリ防災BOOK
ということで、トリさんの防災についてのお話でした。
最後に、今回の情報を調べている際に、役立ちそうな本がありましたのでご紹介します。辰巳出版から2023年に発売されている書籍、「決定版 鳥と一緒に生き残る防災BOOK」という本がとてもわかりやすそうでした。トリ防災の本は種類が少なく、トリを飼育されている方にオススメです。わが家にはトリがいませんが、私も買って勉強しようと思います。
本日も、ご安全に!
本日は「鳥の防災」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!