Voicyそなえるらじお #950 まもなく「過去のもの」となる「蛍光灯」に関するお話
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、10月21日(月)、本日も備えて参りましょう!
明かりの日
本日のテーマは「蛍光灯」のお話です。
本日10月21日は、「あかりの日」です。1879年(明治12年)10月21日、アメリカのトーマス・エジソンが世界で初めて実用的な電球の開発に成功しました。この功績をたたえて、毎年10月21日は「あかりの日」に定められています。
なぜ日本の「あかりの日」の由来がアメリカの発明家エジソンなのか、それは最初の電球に使われたフィラメントの材料が、日本の竹だったからです。この辺りのお話は #461 の放送で詳しくご紹介しておりますので、合わせてお聞きください。
ということで本日は明かりに関連して…蛍光灯のお話です。
蛍光灯の歴史もあと数年
照明用のランプとしては、白熱電球、蛍光灯、LEDライトの3つがよく使われています。省エネや使いやすさの面ではLEDライトが優れているため、最近では多くの照明器具がLEDライトに置き換わりつつありますが、実は蛍光灯はまもなく世の中から姿を消すことが決まっています。
蛍光灯はリサイクルが難しく、寿命を迎えた蛍光灯の多くは埋め立て廃棄されているのが現状です。さらに蛍光灯には「水銀」と呼ばれる金属が使われていて、これが埋め立て処理により環境中に排出されると、人や環境に対する健康被害を与える恐れがあり、問題になっていました。
そのため、2023年に行われた国際会議で、蛍光灯ランプの製造と輸出入を世界的に廃止する合意がなされ、全ての蛍光ランプが2027年3月31日まで製造終了となることがすでに決まっています。
2024年10月現在、日本国内で蛍光灯を製造しているメーカーは、パナソニックとホタルクス(旧・NECライティング)の2社だけです。ホタルクスは2024年度末までに生産終了、パナソニックも2027年度末までに生産終了が発表されています。
いよいよ蛍光灯が過去の時代のものになる日がそこまで来ています。「昔は蛍光灯という明かりがあったんじゃ…フガフガ」「えー、おじいじゃんの嘘つきー」という会話をすることになるのも遠い日ではありません。
蛍光灯の歴史
そんな蛍光灯を少し掘り下げてみましょう。
蛍光灯は、ドイツの物理学者ガイスラーが発明した「ガイスラー管」が原型になっています。ガイスラー管の発明は1856年のことで、これはエジソンにより実用電球が発明された1879年より20年も前のことです。
もっともガイスラー管が実用的な蛍光灯になるまでには時間がかかり、世界で初めての照明用の蛍光灯は、1937年にアメリカのゼネラル・エレクトリックから発売されました。ちなみにGE社・ゼネラルエレクトリックを設立したのもエジソンですから、とにかくエジソンは明かりの神様という存在ですね。
日本の場合は、1941年に東芝が蛍光灯を発売したのが初めです。その後1953年にリング上の蛍光灯が、1980年に電球型の蛍光灯が発売されるなど、様々な照明器具で使用できるように蛍光灯のラインナップが広がって行きました。
その後、LEDライトの普及が始まりますが、初期のLEDランプは価格が高かったため、2000年台後半頃までは、高効率な蛍光灯や電球型の蛍光灯が多く使われていました。値段か寿命か、この辺りの悩みは皆様も経験されたのではないでしょうか。
ちなみに東芝では、2009年をLED元年と名付けて、積極的に白熱電球や蛍光灯の置換えをスタートしています。パナソニックでは2019年に蛍光灯の照明器具の生産が先に終了し、その後は交換用の蛍光ランプの製造が続いていましたが、これも日本のメーカーでは最後となる、2027年3月末で完全終了となります。
明かりは平時にも非常時にも重要な要素です。ぜひ天井を見上げてみてくださいね。
本日も、ご安全に!
本日は「蛍光灯」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!