Voicyそなえるらじお #763 要支援者の方の防災対策…一般の方との違いや注意点は?
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、1月11日(木)、本日も備えて参りましょう!
震災は全ての人を等しく弱者にする
本日のテーマは「要支援者の防災対策」のお話です。
- 昨日1月10日に、宮城県登米市で行われた防災講演会でお話をさせていただきました。行政職員や議員さんなど、公助に携わる方が対象だったのですが、質疑応答で「要支援者の防災対策」についてどのように考えるべきか、とご質問をいただきまして、その時のお話をしたいと思います。
大地震の間にはみな平等
- 要支援者と健常者の防災対策、まず地震への備えですが、
- 大地震から命を守る対策においては、要支援者の方も、健常者の方も、行うべき対策に差はありません。
- 大地震は事前予知ができないため、必ず不意打ちで発生します。そして最悪なのは建物が倒壊して即死することですが、大地震で建物が倒壊すれば、支援が必要な方も、そうで無い方も、等しく命を落とすことになります。
- 建物がつぶれるという最悪の状況においては、若者も高齢者も、男性も女性も、障害のある方もそうでない方も、結果にあまり関係はありません。
- 過去に生じた震災では、犠牲者の多くは高齢者です。しかし1995年の阪神・淡路大震災では、高齢者とあわせて、20代の方の死者が多く生じました。若く、健康で、体力もあり、災害時にも一番無事でありそうな方々が、多くなくなったのです。
- その理由のひとつが、建物倒壊です。20代の大学生や社会人などはお金がないため、いわゆる安アパート、旧耐震基準の古い住宅に住む方が多く、それらが倒壊することで即死してしまうかたが非常に多かったのです。
- 大地震の揺れによる建物倒壊、巻きこまれれば即死する現象の前に置おいては、健常者の方も弱者となります。地震の揺れ対策については、要支援の者の方も、健常者の方も、行うべき対策は同じです。地震で潰れない家に住み、家具を固定すること、これだけなのです。
避難する災害はスピードが重要
- 一方、地震により生じる津波、土砂災害、地震火災。または台風や大雨により生じる、洪水・高潮・内水氾濫などの浸水害。こうした、発生することが事前に分かる、あるいは避難をする猶予がある災害については、要支援者の方と健常者の方で、少し差があります。
- といっても、堤防が決壊して、あるいは高潮が発生して、もしくは内水氾濫が生じて、自宅が沈んでしまえば、要支援者の方も健常者の方も、等しく命を落としかねません。
- 健常者は泳いで逃げられる、と言われるかも知れませんが、子どもの頃のあだ名がカッパで専門的な訓練を受けた方でなければ、健常者だろうと浸水した自宅から逃げることは困難です。
- 基本は避難なのですが、ここで重要なことは、要支援者の方は、全ての行動に時間がかかるという点です。
- 災害に関する情報収集、避難の準備、避難の行動、全てに時間がかかりますので、先手先手を打って、早めに行動をすることが重要なのです。
- 大きな地震が発生した際、自宅が津波・土砂災害・火災等の生じやすいエリアにある場合は、避難指示などが出る前に避難を開始する。大雨や台風などの場合は、自治体から「警戒レベル3:高齢者等避難」が発令された段階で、必要な荷物を全て持ち、自動車などを使って被害が生じる前に避難所へ移動する。
- 要支援者の方は、避難行動そのものにも多きな負担がかかります。しかし災害が生じてしまってからでは、もう逃げることができなくなるため、とにかく早めに行動をすることが重要になります。
- 特に避難情報における、「警戒レベル3:高齢者等避難」は、避難指示の前にだされるオマケではなく、避難に時間がかかる方に取っては、避難指示と同様の重要な目安なのです。
- そのため、可能であれば避難に時間がかかる方ほど、沈んだり崩れたりしない場所、あるいは建物の高層階などに住むことが、命を守る対策として重要になります。
被災生活について
- 要支援者の方は、被災生活を送るのにも困難を極めます。
- もちろん、停電・断水・流通の途絶などが生じた場合は、要支援者の方も、健常者の方も、等しく被災者・弱者となってしまうわけですが、物資の入手や、厳しい環境に対する抵抗力の面において、やはり要支援者の方は問題が多く生じます。
- ここで重要なことは、要支援者の方の災害関連死を防ぐ対応を取ることです。これは先日#759でお話をした対策と同じ内容になります。
- できれば被災地を出て一時的にでも疎開をする、難しければ自宅で生活をできるように日頃から備蓄品などを確保する、どうしても避難所で生活をする場合には積極的に声を上げていく、という対応になります。
本日も、ご安全に!
本日は「要支援者の防災対策」のお話でした。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!