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Voicyそなえるらじお #762 津波避難に自動車NGの理由・逆に車を使うべき状況とは?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #762 津波避難に自動車NGの理由・逆に車を使うべき状況とは?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、1月10日(水)、本日も備えて参りましょう!

津波からの避難

本日のテーマは「津波避難と自動車」のお話です。

  • 1月1日に発生した能登半島地震でも、各地で津波の被害が発生しました。今回はコメント欄にいただいたご質問から、津波避難についてのお話です。
  • コメントをくださいましたのは、「ハムメロン」さん
  • 『高荷先生いつも情報発信ありがとうございます。質問させてください。地震による津波発生時、車での高台への避難について先生はどのようにお考えでしょうか?一般的には渋滞等もあり原則徒歩が推奨されているかと存じます。
  • 我が家の場合、
  • ・津波が来た際、ハザードマップ上で津波が3〜5mの想定がされている
  • ・0歳児、4歳児がいる
  • ・指定避難所の高台の小学校まで徒歩1.5キロ、25分ほどかかる
  • →1人なら走れますが、赤子を連れていることもあり、不安です
  • ・その後の避難生活も0歳・4歳を抱えての生活になるの、できれば車を使いたい。この点を踏まえて、車での高台避難を検討しています。
  • 渋滞等でどうにもならない時は途中で車を端に停めて捨てる覚悟で避難しようと思っております。車での避難について、また乳幼児を連れての避難について先生のお考えをお聞かせ願えると幸いです。

自動車避難①・渋滞対策

  • 多くの場合、自動車は住宅に次ぐ高額品で、絶対に失いたくない家財のひとつです。また、避難先で車を使うことができれば、そのまま車中泊避難も行えるため、できれば車があった方がよいと、誰もが津波から我が家の車を守りたくなるのは当然です。
  • 津波避難時に自動車を使わないでと言われる理由、ひとつは渋滞の発生により逃げ遅れる方々が生じるのを防ぐためです。自動車を津波で失いたくない、また避難後の拠点を確保したい、と考えるのはみな同じですので、避難時に多くの方が車を使おうとします。
  • 大地震の直後は、道路の破損、住宅の倒壊、電柱やブロック塀の転倒などにより、多くの道路が走行できない状態となり、ここに多くの車が集中することで、あっという間に身動きがとれなくなってしまいます。自動車に乗っている状態で津波に巻きこまれると、ほぼ助かりませんので、自動車を使わないでと言われます。
  • 1993年の北海道奥尻島地震では津波による大きな被害が生じましたが、車両の集中による渋滞による逃げ遅れも、原因のひとつとなっています。
  • 一方、人口が少ない地域であり、全ての住民が車を使っても渋滞の心配がない場合は、自動車を使った方が早く避難できる可能性がありますので、一概に禁止ということは言えません。
  • 目安として、日頃から、朝晩の通勤ラッシュ時に周囲の道路が渋滞する地域では、おそらく車を使っても身動きがとれなくなりますので最初から徒歩推奨、通勤ラッシュなんて見たことがない、と言う地域であれば自動車を使うことも検討できるかと思います。

渋滞対策②・他に手段がない

  • 津波避難に自動車を使わないでと言われる理由、もうひとつは「自動車でしか逃げられない方を救うため」です。
  • 乳幼児がいる、走れない高齢者や障がい者がいる、認知症の家族がいるなど、物理的に徒歩での避難が難しい世帯については、自動車を使わなければ逃げることができません。
  • しかし、走って逃げられる方も含めて、みんなが自動車を使うと、大渋滞が発生し、車でしか逃げられない方が助からなくなります。歩ける方は渋滞したら途中で車を捨てて走ればいいと考えますが、歩けない家族がいる場合は渋滞はそのまま命の終わりを意味するため深刻です。
  • これを防ぐために、自動車を使わないでと言うことが言われます。
  • そのため、徒歩避難が難しいと思われる世帯は、積極的に自動車を使うことを検討してよいかと思います。
  • また車で避難をする際、できれば周りの人と乗り合わせて逃げることで、全体的な車の台数を減らせるようにできるとよいですが、それで避難が遅れては意味がないので、まずは一番早く移動できる方法を実行して下さい。

ハザードマップで避難場所を確認する

  • 一方、今回のご質問で気になる点がひとつあります。
  • 『指定避難所の高台の小学校まで徒歩1.5キロ、25分ほどかかる』というところです。避難をする先には、命を守る「避難場所」と、生活をする「避難所」の弐種類があります。
  • 津波避難は、命を守るための避難ですので、高台の避難場所や、津波避難ビル・津波避難タワーなどへ走って逃げることになります。津波の被害を大きく受ける地域において、1.5キロ走らないと安全な避難場所がないというのは、問題です。
  • そのため、もしかしますと今避難を検討している高台の小学校は、命を守った後、生活をするために避難をする「避難所」で、自宅の近くに逃げ込める「津波避難場所」「津波避難ビル」「津波避難タワー」などがあるかもしれませんので、これらをチェックいただきたいと思います。

乳幼児を連れての避難について

  • 乳幼児を連れての避難は大変です。子どもの手を引いて、あるいはおんぶや抱っこで逃げる必要がありますので、時間がかかり、持ち出せる荷物も少なく、避難先でもいろいろな不便に直面します。
  • 確実な対策としては、極力避難しなくてよい場所に住むしかありません。地震に対しては、津波や土砂災害が生じない場所、大規模な火災の生じにくい、古い木造住宅が密集していない場所、また家が潰れないように、できるだけ新しく、できれば耐震等級の高い家に住むことが理想です。
  • また台風や大雨に対しても、沈んだり崩れたりしない場所に住めば、そもそも避難はしなくてよくなるため、かなり楽になります。こうした場所への引越しができるならば、これが一番良い方法です。
  • 引越しが難しい場合は、危険な状態からできるだけ早く逃げるための準備をするしかありません。玄関などに日頃から荷物をまとめておくこと、車を使う計画であれば、車にも必要なものを乗せておくこと、また建物が倒れてこなさそうな避難ルートをあらかじめチェックしておくことなどが重要です。

本日も、ご安全に!

本日は津波避難と自動車」のお話でした。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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