Voicyそなえるらじお #673 戸建ての浸水対策・防水シートや水のうで床上浸水を防げるか?
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月5日(火)、本日も備えて参りましょう!
水害を耐えるのはきつい
本日のテーマは「住宅の水害対策」のお話です。
- 今回はコメント欄にいただいたご質問への回答です。
家を浸水から守れるか
- コメントをくださいましたのは「いい朝」さん。
- 高荷先生、いつも楽しみに拝聴しております。質問あり初コメです。
- 災害リスクに備えたつもりで購入した物件ですがハザードマップ書き換えにより現在は高潮被害最大1mと表示されて、家屋防御を考え直す必要が生じました。
- 「最大1m」なら床下換気口と玄関を密封すれば浸水を防げる気がしており、この密封法で浸水を防げるお宅がたくさんあるのでは?と思っています。換気口は水嚢で、玄関は「浸水対策防水シート」で外からふさぎ、踏み台で窓から入れば完璧な気が。この浸水対策に欠けている点のご指摘いただければ幸いです。
住宅の浸水対策について
- 水の浸入を防ぐと考えた場合は…
- 家の周りにグルリと塀などがあるならば、入口を止水版で封鎖する。
- ただしこの環境があるお家は少なそう。
- 建物で対応するならば、玄関、掃き出し窓などを、止水版・防災シャッター・防水シートなどを使って外側からふさぐ。硝子窓などが道路に面している場合は、漂流物の衝突でガラスが破れる恐れがあるため、止水とあわせて板などを使った物理防護も必要か。
- 基礎部分の床下換気口も全てふさぐ、また基礎と建物の間の隙間もふさぐ必要があるため、住宅の外周をグルリとシートなどを巻き付ける恐れもありそう。この辺りは構造によりますね。
- さらに、排水溝からの逆流がある。自宅が床上浸水するレベルだと、排水溝から下水が噴水のようにあふれるおそれ。自宅のトイレ、風呂場、洗面所、台所、洗濯機置き場など、排水溝を全て封鎖する必要あり。
- などを考えると、かなりキツイ、もともと浸水対策住宅として、床下の無い家、換気口の無い家、基礎と建物の間に隙間の無い家、などの工法を採用しないときつそう。家を建ててくれたメーカーさん・工務店さんに、浸水防止対策をするならどうするべきか聞くとよさそう。
その他の対策
- ポンプを使う場合…
- 床上浸水が生じている場合、漏電ブレーカーが落ちるため、停電していなくても、自宅の電気は使えなくなる可能性が高い
- 浸水しない高さの部屋に、ポータブル電源や発電器の確保が必要
- 浮力について…
- 家は浮きます、過去の水害でも家が浮いて流されるケースがあり、この時の浸水深は90センチほどでした。
- 水密対策をする場合、浮力がどのくらいになるかは、メーカー・工務店さんに相談をし、本気で対策をするならば基礎と建物を結合する金具などを増やす必要がありそう。
避難の準備を
- ギリギリ床上浸水しそう、というレベルであれば、水密対策で被害を軽減できる可能性はあります。
- ただし浸水が数日~数週間続く場合、水漏れを防げなかったり、生活ができなくなる恐れもあるため、ハザードマップで「浸水継続時間」がどのくらいになるかは見ておくべき。
- 浸水が1m程度になると、水密が破れて室内に水が流れ込んだ場合、命にかかわる恐れもあります。1Fの対策を済ませたら2Fで生活をできるようにして、上階に避難をしておく、などの工夫は必要。
- ハザードマップは「想定最大」が記されます。その日は明日かもしれませんが、一生被害が生じないかもしれません。最後は逃げれば助かる、と考えて、できる範囲の対策を検討ください。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「住宅の水害対策」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!