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Voicyそなえるらじお #688 ちょうど20年目を迎えた「M8」の巨大地震・平成の十勝沖地震

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #688 ちょうど20年目を迎えた「M8」の巨大地震・平成の十勝沖地震

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月26日(火)、本日も備えて参りましょう!

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本日のテーマは「十勝沖地震」のお話です。

  • 本日9月26日は、ちょうど20年前に北海道で「十勝沖地震」が発生した日です。

十勝沖地震

  • 2003年(平成15年)9月26日、早朝4時50分、北海道の南端襟裳岬の東南東沖合80キロ、深さ45キロの地点で、マグニチュード8の巨大地震が発生しました。平成の十勝沖地震の発生です。
  • この地震では、震源に近い北海道の南側で最大震度6弱の揺れを観測。気象庁の地震計には残っていませんが、個別に計測された震度計では震度6強相当の揺れが観測されました。
  • 海底で発生した巨大地震であったため、津波も発生しています。最大の高さは、帯広市の南東にある北海道豊頃町(とよころちょう)で観測された、2メートル55センチの津波、また豊頃町に河口がある十勝川などでは川を津波が10キロ以上も逆流する現象が発生しました。
  • この十勝川河口付近では、つりをしていた男性2名が津波にのみ込まれて行方不明となっています。
  • じつはこの平成の十勝沖地震、死者・行方不明者は全体で2名と、地震の規模に比較すると少なかったのですが、この2名の犠牲者が、この豊頃町で吊りをしていた男性2名と言うことになります。ご冥福をお祈りいたします。

M8は大きい

  • 平成の十勝沖地震、地震の大きさを示すマグニチュードは8、巨大地震です。マグニチュードが8を超える地震というものはそれほど多くありません。
  • 一般的には、地震のマグニチュードが6を超えると大地震と呼ばれます。日本において、昨日までの過去100年間で発生した、震度1以上を観測した、マグニチュード6以上の大地震は、合計すると1700回あります。
  • しかし、震度1以上を観測した、マグニチュード8以上の巨大地震は、過去100年間でわずか11回しかありません。また、そのうち3つの地震については、日本列島からかなり離れた場所で生じていますので、日本近海で生じたM8以上の巨大地震は、過去100年で8回しか発生したことがなく、その1回が、平成の十勝沖地震だった訳です。

比較的軽微な被害

  • しかし、地震の大きさに比較して、十勝沖地震の被害は比較的軽微なものでした。負傷者こそ、重傷者69名を含む849名が生じておりますが、死者・行方不明者は全体で2名。
  • また家屋の全壊は116棟、その他にも建物やインフラの被害も多く発生してはおりますが、壊滅する様な都市は生じなかったという点においても、数字の上では比較的軽微な被害であったと言える地震です。
  • これは、この地震による揺れが、木造戸建てなどの建物を破壊しやすいキラーパルスを含むモノでではなかったこと。
  • 1981年に改正された法律、建築基準法による新耐震基準の施行から20年以上が経過し、多くの建物が新耐震基準準拠、また耐震リフォームなども進められていたこと。それ以前から、雪国かつ寒冷地である北海道の住宅は、比較的強固であったこと。また甚大な津波被害などが生じなかったことなどが要因と考えられます。
  • なお、戸建て住宅の被害は少なかったのですが、震源からやや離れた北海道・苫小牧の製油所で、石油タンクの火災が発生しました。これは、地震による長周期震動の周期と、石油タンクの周期が一致したことで、石油タンクの内容が大きく揺れるスロッシング現象が発生したことが原因と考えられています。長周期震動と言えば、高層ビルやタワーマンションなどへの被害が注目されていますが、このような大きな建造物についても、対策が必要であることが分かります。
  • 巨大津波、大規模な地震火災や土砂災害などの二次災害が発生しない場合、大地震の被害は建物の倒壊によるものが多くなりますが、建物対策が進んでいる場合、マグニチュード8という巨大地震が発生しても、ある程度被害を押さえ込めるのだという点は、日本の地震対策におけるひとつの成果であるといえます。

また生じる十勝沖地震

  • ところで、この地震の名前を冒頭から、平成の十勝沖地震と呼んでいますが、この地域では定期的に巨大地震が発生しています。十勝沖地震が生じるプレート境界は、まさに先日の放送でもご紹介した、北海道・三陸沖後発地震注意情報が発表される対象地域です。
  • 十勝沖、根室沖、色丹島・択捉島沖で、海溝型の地震が生じる可能性のある地域ですが、それぞれの海域において、おおむね70年おきにM8クラスの巨大地震が生じています。
  • 十勝沖の場合は、1843年、1952年、そして2003年にM8クラスの巨大地震が発生しているため、次の巨大地震は、おおむね21世紀の終わり頃から22世紀の初頭ではないかと想定されているわけです。
  • 一方、十勝沖海域の北側、北海道根室沖についてもM8クラスの大地震が繰り返し発生していますが、こちらの平均間隔は約65年で、前回の地震はちょうど50年前の1973年のことでしたので、切迫度合いで言えば、十勝沖よりも根室沖の方が、次の巨大地震の発生が迫っていると言えます。
  • また、M8よりひとまわり小さな、M7クラスの地震は、この海域の場合20年ほどの間隔で発生しており、前回は15年前の2008年でしたので、十勝沖から根室沖にかけて、M7クラスの大地震は、いつでも生じる時期に来ているということにもなります。
  • 常に備えが必要です。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「十勝沖地震」のお話でございました。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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