Voicyそなえるらじお #618 岩手・宮城内陸地震から15年…命を守るポイントを学ぶ
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月14日(水)、本日も備えて参りましょう!
15年目
本日のテーマは「岩手・宮城内陸地震」のお話です。
- 本日6月14日は、2008年に発生した「岩手・宮城内陸地震」からちょうど15年目を迎える日となります。
- 死者・行方不明者23名、また国内最大規模の土砂災害が発生したこの地震から、命を守る対策について振り返りをします。
岩手・宮城内陸地震
- 2008年(平成20年)6月14日、朝・8時43分頃、岩手県の南部で、マグニチュード7.2、深さ8キロ、最大震度6強を観測する大地震が発生しました。「岩手・宮城内陸地震」の発生です。
- 地震全体における人的な被害としては、死者・行方不明者23名、負傷者451名が生じた地震でしたが、その多くが土砂災害による被害でした。
- この地震、名称としては震源地となる岩手県を前にした「岩手・宮城内陸地震」という名前がついていますが、被害のほぼ全ては震源の南側にある宮城県栗原市の栗駒山周辺に集中しており、大規模な地すべりやがけ崩れによる大きな被害が生じています。
建物被害の少なさ
- この地震による建物被害としては、全壊が約30棟、半壊・一部損壊が約2,600棟という被害をもたらしていいますが、地震の大きさの割に建物被害が少なかったことが特徴です。
- 理由のひとつは場所、山間部を直撃する形となったため、極めて大きな土砂災害が発生しましたが、建物の被害は最小限となりました。マグニチュード7.2の直下型地震で、最大震度も6強を記録するなど、発生する場所が大都市の直下であれば、さらに大きな被害が生じていたと想定されます。
- もうひとつは揺れ方、地震の揺れ方が木造住宅に被害をもたらしにくい揺れでったことがあげられます。
- 地震による揺れ方は地震ごとにことなり、1995年の阪神・淡路大震災などで観測された、揺れの周期1秒前後の「キラーパルス」と呼ばれる揺れが含まれると、木造住宅に大きな被害が生じます。
- 揺れの周期が家屋に被害をもたらしづらい周期であり、建物の被害が最小限で済んだことはひとつ幸運であったことといえます。
学び1
- 岩手・宮城内陸地震は、いわゆる「未知の断層」による地震でした。
- 地震が発生した後の調査により、この地域に断層があることが判明しましたが、地震が生じる前は断層の存在が確認されていなかったため、ある意味では地震に対する警戒が薄い場所で大地震が生じたと言うことになります。
- 日本の場合、このような未知の断層を含め、どこでも地震が発生する可能性がある国です。ここ100年地震の記録が無い、それはたまたまです。この街には断層が無い、まだ見つかっていないだけかもしれません。
- どこでも常に地震に備える、という意識が重要です。
- またこの地震で亡くなられた方の一人は、地震を感じて建物から外に飛び出したところ、車にはねられて命を落とされるという死因になっています。
- 大地震が発生した際には、車も運転が困難になったり、緊急地震速報に驚いて急停車・急ハンドル・事故などが生じる可能性があります。平時だけで無く、地震の際には車道に飛び出さない、近づかない、ということもひとつの教訓であるといえます。
- 道路に飛び出された方は、建物の倒壊を恐れてのことだったのかもしれませんが、ちなみにその建物に損傷はなかったそうです。
学び2
- また、岩手・宮城内陸地震では、被害の多くが土砂災害による物でした。
- 被害の集中した栗駒山の周辺では、崖崩れや大規模な地すべりなどが3,500以上の箇所で発生したと報告されていますが、
- 特に、栗原市にある荒砥沢ダム(あらとざわダム)では、山体崩壊と呼ばれる山そのものが崩れる被害が発生し、崩れた土砂がダム湖になだれ込み、津波が発生しました。
- しかし、幸い梅雨に備えてダムの水位を下げていたことから、津波がダム本体を破壊したり、ダムを越えて洪水を起こすことはありませんでしたが、大規模な水害につながる可能性が生じたため、復旧工事などが至急行われるなどの対応がとられました。
- ダムが水を満載にしている状態でこの大地震が発生した場合、最悪の場合はダムそのものが破壊され、下流には甚大な土石流被害が生じていた可能性もあったため、大地震が発生した際には、海だけで無く、山やガケ、川などからも離れるということは、知っておきたい知識であるといえます。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「岩手・宮城内陸地震」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!