Voicyそなえるらじお #616 ブロック塀の耐震基準…違法建築と既存不適格のお話
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月12日(月)、本日も備えて参りましょう!
30年に1度生じる大地震
本日のテーマは「宮城県沖地震と新耐震基準」のお話です。
- 本日6月12日は、45年前に「宮城県沖地震(1978年)」が発生した日です。「新耐震基準」が生まれるきっかけとなったこの地震、2005年にも発生しましたが、被害の大幅な軽減に成功しています。
- 今回はこのお話。
宮城県沖地震
- 1978年(昭和53年)6月12日の夕方17時14分、宮城県沖を震源とする、マグニチュード7.4、深さ40km、最大震度5を観測する地震が生じました。「宮城県沖地震」の発生です。
- 宮城県の沖合では、おおよそ38年間隔でM7クラスの大地震が繰り返し発生している地域です。
- 実際、1978年の地震から27年後、2005年の8月16日にも、同じ場所でM7.2の大地震が発生していますが、さらにその6年後、2011年の東日本大震災の際にも、他の地域と連動する形でこの震源を含む超巨大地震が起きています。
- 宮城県沖での大地震は、今後も定期的に起こり続けますので、建物の安全対策と津波の避難に関する準備は、ライフスタイルとして行い続ける必要があるということになります。
宮城県沖地震(1978年)
- 今年で45年目を迎える、1978年の宮城県沖地震では、全体で死者28名、負傷者1,325名の人的被害と、家屋の全壊1,183棟、半壊5,574棟、さらに10万棟近くの一部損壊が生じる、建物被害が生じました。
- この地震では、津波による犠牲者は生じていませんが、建物の倒壊に巻き込まれて命を落とされたり、特に特徴的だったこととして、28名の死者のうち18名が、ブロック塀などの下敷きになって命を落とされたという点になります。
ブロック塀について
- ブロック塀は、建築基準法により立て方に制限が設けられており、1971年1月1日に施行された建築基準法の改正で、高さは3m以内にすること、また3.2m間隔で控え壁を設置することなどが定められていました。
- しかし7年後の宮城県沖地震で、ブロック塀による大きな被害が生じたため、1981年6月1日施行の建築基準法改正で、塀の高さは2.2m以下にすると制限が厳しくなりました。なお、控え壁については3.4mの間隔で入れればOKと、若干規制が緩くなりました。
- その後、2001年1月6日にも建築基準法が改正されましたが、ブロック塀についての基準は問題なしとして見直しはされていません。そのためブロック塀については、ざっくり40年以内に立てられたものであれば、最新の基準に準拠していると言える訳です。
- ところで、大地震によるブロック塀被害は毎回生じています。最近でも2016年の熊本地震や、2018年の大阪北部地震で、ブロック塀倒壊による死者が生じています。
- しかし、これらの地震によるブロック塀の倒壊は、法律に違反していた違法建築だったということで、法律が存在しても守られなければ意味が無い、という状況を反映したものになってしまっています。
- 2023年2月にトルコで発生した大地震でも、違法建築の建物の多くが倒壊して死者5万人を超える甚大な被害が生じていますが、日本でも建物こそ違法建築は生じづらい仕組みになっていますが、ブロック塀のような簡単に作れる構造物については目の届かない物も多く、大地震で被害が生じてから初めて違法建築だったと判明するケースも多いのです。
法律を守ろう・守らせよう
- 1981年の建築基準法改正により、建物は「新耐震基準」と呼ばれる大幅な見直しが入り、それ以降の地震でも強い揺れの1発目では倒壊しない作りになりました。
- 宮城県沖地震の場合も、旧耐震の家しか存在しなかった1978年の地震では多くの建物が倒壊する被害が生じていますが、2005年の宮城県沖地震では、最大震度6弱を観測していますが、死者はゼロ名、建物の全壊は1棟と大幅に被害が軽減されています。
- 耐震基準という法律を守れば、想定されている地震による被害は大きく軽減することができます。しかし法律違反を犯せば、当然ながら大きな被害が生じます。ブロック塀は凶器です。違法建築であるものはもちろん、1981年以前に建造された、いわゆる「既存不適格」となっているブロック塀についても、撤去・建替・フェンスなどへの取り替えなどが必要です。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「宮城県沖地震と新耐震基準」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!