Voicyそなえるらじお #517 新耐震では不足?耐震等級3の住宅の圧倒的な耐震性能!
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、1月17日(火)、本日も備えて参りましょう!
自分の世代ではなく次世代を守る防災を
本日のテーマは「住宅と耐震」のお話です。
- 本日1月17日は、阪神・淡路大震災から28年目を迎える日です。
- 1995年(平成7年)1月17日火曜日・早朝5時46分、マグニチュード7.3、史上初めての震度7を記録した「兵庫県南部地震」が発生し、最終的に死者6,434名、64万棟の住宅が被害を受ける震災、「阪神・淡路大震災」が発生致しました。
- この震災を経験したことのない、若い方も増えている昨今ですが、大都市を直撃したこの大地震、次の同じような大地震による被害を減らすため、様々な教訓を残す必要があります。
犠牲となった大学生達
- 阪神・淡路大震災でなくなられた方の特徴としては、建物倒壊や家具の転倒による圧迫死の割合が高かったことが挙げられます。
- 死亡者の9割以上の方は、死亡推定時刻が大地震発生から15分以内となっており、ほとんどが即死状態だったということです。
- ということは、消防や自衛隊がどれほど早く出動できても、あるいは日頃から地域の防災訓練を重ねてコミュニケーションを強化していても、意味が無いとは言いませんが、劇的に死者を減らすことにはつながらない。とにかく建物を頑丈にして、家具を固定することが重要であると言えます。
- また死亡者を年齢別にみますと、高齢者の死亡率が高いのは他の震災と同様ですが、20代の体力のある若い方の死亡率も高かったことが特徴であると言えます。
- これは、古い木造のアパートなどに住んでいた大学生や社会人が、建物倒壊に巻き込まれてなくなられたという背景であり、やはり建物を強化することが重要であると言えるわけです。
繰り返された悲劇
- 阪神・淡路大震災と同じような状況が生じたのが、2016年の熊本地震でした。熊本地震では強い揺れが繰り返し発生し、震度7の地震が2回、震度6強も2回、震度6弱も3回生じるなど、震災クラスの強い揺れが7回も発生したことが特徴です。
- そのため、建物に関しても1回目の揺れには耐えた建物が、2回目以降の強い揺れで倒壊するといった被害が生じました。
- さらに、震度6強の揺れに見舞われた熊本県の南阿蘇村には、東海大学の阿蘇キャンパスがあり、周辺には大学生が暮らす木造二階建てのアパートが多くありました。
- そしてこれら、古い木造アパートが地震の揺れで倒壊し、多くの大学生が生き埋めとなり、東海大学の学生においては三名の方が亡くなるという被害が出ています。
- この、古いアパートに住む大学生が命を落とすという構図は、阪神・淡路大震災とまったく同じものであり、被害を防ぐことができなかったことは、防災対策における大きな反省点であり、現在も継続する課題であると言えます。
建物の耐震性
- 建物の地震に対する強さは、日本の場合「建築基準法」の「耐震基準」により定まる要素が多くあります。耐震基準は、大きな地震が発生して被害が出るたびに見直し・改正が繰り返されています。
- 現在の建築基準法が生まれたのは、1950年(昭和25年)ですが、1978年に発生した宮城県沖地震の影響を受けて、1981年に大規模な改正が行われ、これが通称「新耐震基準」と呼ばれて現在も重要な目安となっています。
- さらに1995年の阪神・淡路大震災の後にも改正が行われ、2000年には木造住宅に対する基準が強化される改正が行われています。この基準は、新・新耐震基準とか、2000年基準などと呼ばれていますが、木造住宅に住む場合にはできるだけ気にしたい基準であると言えます。
- ただ、これらの耐震基準はあくまでも「最低限度の基準」を示したものであり、具体的には震度6強から7の地震の直撃を受けても、1回目の揺れでは倒壊しない作り、というのが目安になっています。
- ということは、熊本地震のように震度6強以上の揺れが繰り返し発生した場合は2回目以降の揺れで建物が倒壊する恐れもありますし、また倒壊はまぬがれても大破してそのまま住める状態にはならない、ということもあり得ます。
- 実際、熊本地震ではこのような被害が多く生じました。
耐震等級3で
- 大地震に対して住宅を選ぶ際に、最低でも新耐震基準、木造住宅の場合はできれば2000年基準の家を選ぶことは重要です。ただ、より安全な住宅を選びたいという場合は、ぜひ耐震等級3の住宅を選ぶようにしてください。
- 耐震等級は、2000年の建築基準法による耐震基準改正とあわせてスタートした仕組みで、最低限の基準と同じ耐震等級1から、その1.5倍の地震に耐えられる耐震等級3までの三段階となっています。
- 例えば2016年の熊本地震、震度7を観測した熊本兼益城町(ましきまち)で、揺れが強かったエリアにおける住宅の被害状況調査が行われました。この結果を見ますと、
- 1981年5月31日より前に建築確認申請を受けた、旧耐震基準の建物は、28%が倒壊、17%が大破、無傷の建物は5%でした。旧耐震の建物はやはり強い地震に耐えられないということが浮き彫りになった結果でしたが、問題は新耐震の住宅でした。
- 1981年6月1日より後に建築確認申請を受けた、新耐震基準の建物、このうち2000年基準より前に立てられた木造住宅も、8%が倒壊、9%が大破、無傷だったのは20%と、それなりに多くの被害が生じていたのです。
- ちなみに2000年基準の木造住宅においても、2%が倒壊、3%が大破、32%が何かしらの被害を受けています。
- 一方、2000年基準の木造住宅の中でも、耐震等級3の建物については、倒壊・大破はゼロ、軽微な損傷が12%、無傷が87%と、圧倒的な頑丈さを示しています。
ということで、建物を選ぶ場合は、新耐震基準は最低限度、できれば耐震等級3をえらぶようにするのがおすすめです。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「住宅と耐震」のお話でございました。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!