Voicyそなえるらじお #109『水や食料の日常備蓄は、食品異物混入にも有効』
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、5月10日(月)、本日も備えて参りましょう!
グリコ森永事件
本日のテーマは、「日常備蓄」です。
- 1984年から1985年にかけて、日本中を騒がせた事件がありました。通称「グリコ・森永事件」、または「怪人21面相事件」です。
- この一連の事件では、数回にわたり毒物である青酸ソーダが混入されたお菓子が店頭にばらまかれ、被害を受けたメーカーの菓子が店頭から撤去されるなど、広く影響をもたらしました。
- この毒物ばらまきが始めて行われたのが、37年前の本日、1984年の5月10日のことでした。
- このグリコ・森永事件は、最終的に全ての事件が時効を迎えてしまい、未だに解決していない未解決時間として記録されています。
しばしば発生する毒物の混入
- さて、悪意のあるなしに関わらず、パッケージされた食品への異物混入、毒物混入はしばしば発生します。
- これが大規模なものになると、多数の被害者が発生する社会的な大事件に発展します。
- 例えば…
- 1955年に発生した「森永ヒ素ミルク事件」では、粉ミルクに製造過程で毒物が混入し、乳幼児に対して多くの被害者が発生しました。現在も後遺症に苦しむ被害者がいるなど、歴史に残る教訓を残した事件となりました。
- 1968年に発生した「カネミ油症事件(ゆしょうじけん)」では、食用油の製造工程で毒物が混入し、これを接種された方や、胎児に後遺障害が残るなど大きな影響を与える事件となりました。
- 2000年に発生した「雪印集団食中毒事件」では、乳製品飲料の製造過程でトラブルが発生し、毒素が発生してしまった製品がそのまま販売されて、多くの被害者が発生する事態に発展しました。
- 2008年に発生した「中国 冷凍餃子中国事件」では、人為的に毒物が混入された冷凍餃子を食べた方が食中毒を引き起こすなどの被害が発生し、中国産食品の安全性に注目が高まる時期がありました。
- また毒物混入とは異なりますが、2011年の東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所事故の影響で、東京都の水道水から乳幼児の摂取制限指標を上回る放射性物質が検出され、東京都から乳児に対する須藤水の接種を控える様にとのフドウがなされ、一時期店頭からペットボトル水などが完全になくなるなどの影響が発生しました。
- 食品への毒物混入は、悪意のあるなしに関わりなく、定期的に発生してしまう災害の一種であると言えます。
日常備蓄によるタイムラグ
- ところで防災備蓄品は、こうした食品への毒物混入に対する防衛策のひとつとして機能します。
- 乳飲料のような生鮮食品は買ってきてすぐ食べますので難しいのですが、粉ミルク、食用油、お菓子、冷凍食品など、は、日常備蓄の対象にできます。
- 少しだけ多めに購入し、先に買った物から食べる、これが日常備蓄の基本ですが、これを実践することで、購入から消費まで数日から数ヶ月のタイムラグを作ることができますので、突発的な毒物や異物の混入を避けることができるのです。
- テレビやWEBのニュースで、食品への毒物混入に関する報道を知った時に、日常備蓄が生活に根付いていれば、買ったばかりの物はまだ食べずにしまってあることになりますので、毒物の接種を避けることができます。
- もちろん、普段口にしている食品全てを日常備蓄に置き換えることは難しいですし、毒物混入の発生から発表までの時間が長くなってしまった場合も効果は得られませんが、可能性を下げるという自己防衛策のひとつとしては、効果があります。
- また2020年の3月から4月にかけて、新型コロナウイルス感染症の影響で、全国からホットケーキミックスなどの粉類や、冷凍食品などが品薄となるといった状況も発生しましたが、
- 理由はともかく、必要なものがある日突然買えなくなる、という二次災害は常に発生する可能性があります。
- こうした事態に対しても、やはり日常備蓄は有効です。というか、そもそもこうした物がなくなる事態に備えるのが日常備蓄ですので、自然災害だけでなくいろいろな事件にも対応できるという点を、知っておくと役立つかも知れません。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「食品への毒物混入と日常備蓄」のお話でした。
5月の長期休暇が終わり、次の土日以外の祝日は7月22日の海の日となります。これから本格的な水害シーズンに突入しますので、自宅周辺のハザードマップが新しくなっていないかの確認、ライフライン停止に備えた備蓄品の確認など、ぜひ行ってみてください。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!