Voicyそなえるらじお #92『1858飛越地震…大地震による土砂災害・天然ダム崩壊に警戒』
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月9日(金)、本日も備えて参りましょう!
飛越地震
本日のテーマは「飛越地震」です。
1858年の安政飛越地震
ちょうど163年前の本日、1858年・安政5年、4月9日、深夜の午前1時頃、越中国と飛騨国の国境付近、現在で言うところの、富山県と岐阜県の県境辺りを震源とした、マグニチュード7~7.1と推定される大地震が発生しました。飛越地震、または安政飛越地震と呼ばれる大地震です。
- 被害は、岐阜県の北部、および富山・石川・福井の北陸地方に広がり、全体では死者426名、負傷者646名、家屋の全半壊2190戸に及んだということです。
- かなり大きな被害が出た地震ということですが、同時に、163年前に発生した大地震の、正確な被害記録が残っているというのも、なかなかすごいことだなと思います。
- 安政飛越地震は山間部で発生したため、無数の山崩れが発生しました。
- この土砂災害により、川がせき止められて天然ダムが造られ、このダムが地震の余震で崩壊して決壊し、富山県を流れる常願寺川下流域に洪水の被害をもたらしたと言うことです。
- こうした土砂災害・山崩れの被害はあちこちで発生し、この記録を風化させないようにと、岐阜県飛騨市の小学校跡地には、地震の記録を残した石碑が残されています。
土砂災害がひどかった災害
- 安政飛越地震の様に、土砂災害が多発する被害は、大地震の被害が山間部にいたった際に、しばしば見られる現象です。
- といっても日本は非常に山の多い国ですので、多くの大地震では山間部の土砂災害を招くことになります。
- ハザードマップなどを確認した際に、自宅が「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」などに位置する場合は、大雨だけでなく大地震でも土砂災害に巻きこまれる恐れがあるため、揺れが収まったら避難をする、などの準備が必要になります。
- 地震により河川が土砂で埋められ、天然ダムが造られた事例としては、例えば1923年、関東大震災を引き起こした「大正関東地震」で、神奈川県秦野市と中井町(なかいまち)の境にある震生湖が上げられます。
- 震生湖、震えて・生まれた・湖、と書きますが、この湖は大正関東地震の揺れで、周囲の丘が200mほど崩落し、近くの河川をせき止めて生まれた湖です。
- 現在まで崩壊せずに残っていますが、流入する河川も、流出する河川もなく、地下水脈だけで推進を維持しています。
- また、同じ大正関東地震では、丹沢山地でも山崩れが発生していますが、こちらは豪雨で土石流が発生して崩壊し、周囲の村を押し流すなどの被害が発生しています。
地震が多かった嘉永から安政時代
- 安政飛越地震が発生した時代は、全国的に大地震が頻発した時期でした。
- 1853年に嘉永小田原地震が、
- 1854年に伊賀上野自身と、安政東海地震と、安政南海地震が、
- 1855年に安政江戸地震が、
- そして1858年に、安政飛越地震が、連続して発生しています。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「安政飛越地震」のお話でした。現代においても、特に21世紀以降に大地震が続いていますが、揺れ対策、津波や土砂災害の避難準備などは、常に行っておきたいところです。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!