Voicyそなえるらじお #101『大都市に居住するリスク、被災するなら少数派に』
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月22日(木)、本日も備えて参りましょう!
大都市に居住するリスク
本日のテーマは、「災害と人口」です。
- 昨日の放送では、「voicy 死なない防災!そなえるらじお」の放送100回目ということで、私のYouTubeチャンネル「そなえるTV」とのセルフコラボ放送をお聞きいただきました。
- その中で、今日のテーマ候補についてひと言つぶやいていたのですが、気づかれましたでしょうか。
- 本日4月22日は、「4・22→しーにゃんにゃん」ということで、ネコに静かにして欲しい日です。というのは冗談なのですが、
- 1968年4月22日に、横浜市の人口が、名古屋市を抜いて、「市」という区分の中では、大阪市に次ぐ第二位となった日です。
- その後も横浜市の人口は増加を続け、10年後の1978年には大阪市の人口を超えて、「市」の中では全国1位、東京23区を追加しても、全国2番目の人口を抱える大都市圏となりました。
- ちなみに現在の横浜市の人口は、377万人で、都道府県と比較しても、人口361万人の静岡県を超えて、横浜市単体で全国10番目の規模を誇ることになります。ちょっとすごいですね。
- あと静岡県民としては、ちょっと悔しいですね。
大都市圏
- ところで、私は静岡県出身なのですが、就職する際に上京しまして、2006年から2012年まで6年ほど、神奈川県川崎市に住んでいたことがあります。
- そこで、わが家の長男と、次男も生まれています。
- しかし、2012年の3月に、地元である静岡県三島市にUターンしまして、現在に至っております。
- なぜ川崎から静岡に引越しをしたのか、いろいろな理由がありますが、防災的な考え方としても、2つのきっかけがあります。
- ひとつは2009年に発生した、前回のパンデミック。新型インフルエンザパンデミックが2009年の4月頃から全世界で広がり、6千万人ほどの感染者を発生させた後、終息しました。
- 現在流行中の新型コロナウイルス感染症COVID-19とことなり、致死率が極端に低く、感染しても、数字上は死ぬ方が極めて少なかったため、一瞬パニックになりかけましたが、あっという間に沈静化したのが前回のパンデミックでした。
- 当時私は「普通の会社員」をしていましたが、このパンデミックに対して会社が特別な行動をとることは無く、もしこれが強毒性で致死率の高いウイルスだったとしたら、自分も感染して死んでいたかも知れないなと、漠然と感じました。
- 感染症は、人類の都市化に伴って発生する、いわば人災です。
- 私たちがホモサピエンスとして、野生の中で暮らしていた時代には、感染症の世界的な流行・パンデミックは起こりえませんでした。
- 感染症は人から人へうつりますので、人が密集して暮らしていなければ、広がりようがないからです。
- そうした意味では、人類が作り出した新たな災厄が、感染症パンデミックであると言えます。
- 大都市に暮らすことは、パンデミックの影響を受けすぎる可能性がある。今回の新型コロナウイルス感染症では、死亡者の大部分が高齢者に集中しているため、社会機能は維持されていますが、今後ウイルスが変異を起こして、若者が死ぬような流行が始まりますと、本当の意味の第二波がやってきます。
- この時、大都市圏に暮らしていると、単純に感染して自分や家族が死ぬ可能性がありますし、流通網などがマヒ状態になっている場合、大都市での生活は極めて困難となります。
- そのため、2009年のパンデミック後、機会があれば人口の少ない地方へ引越をしたいと考えるようになりました。
大地震と大都市
- もうひとつの理由は、2011年の東日本大震災です。
- 3.11のあの日、私は渋谷のオフィスビルに勤務しており、震度5強の揺れに襲われたものの、特に深刻な影響は受けませんでした。
- また妻は、当時0歳の次男を連れて外出中でしたが、路上で強い揺れに襲われて、揺れが収まるまでその場でしゃがみ込んでいたそうです。
- 日本は地震大国であり、いつでもどこにでも、最大規模の大地震が襲いかかる可能性があります。
- つまり、誰もが等しく、被災者になる可能性があるのですが、このとき、どうせ被災者になるならば、少数人数で被災すべきと私は思います。
- 3.11東日本大震災は、日本史に残る大震災でした。
- しかし、首都圏が直接的な被災地にはなりませんでしたので、計画停電を含む影響はあったものの、基本的には首都圏から東北地方に向けて、大量の支援物資・人員が送り込まれ、また多くの資金を投入して復興活動を現在も行っています。
- ところが、もし首都圏が直接的な被災地になった場合、話は変わります。
- 2013年に内閣府中央防災会議が作成した、首都直下地震の被害想定資料によれば、都心南部で直下地震が発生した場合、
- 大きな被害を受ける「震度6弱」以上の揺れにさらされる人口は、首都圏全体で2千万人を超えます。
- また、壊滅的な被害が生じる恐れのある「震度6強」以上の揺れにさらされる人口も、首都圏全体で9百万人弱と想定されています。
- つまり、首都直下地震が発生すると、3千万人の人が、震度6弱以上の揺れにさらされる可能性があるわけです。日本の人口の4分の1が、同時に被災者となった場合、これを誰が支えられるのでしょうか。
- 日本の構造上、首都圏が生きていれば、地方の災害はなんとか復旧をさせることができます。しかし、首都圏が破壊された場合、これを全面的にバックアップする仕組みや、人員、物資は、どこにもないのです。
少数派になろう
- ということで、私は、毒性と致死率の高いパンデミックから逃れるため。
- また大地震や大規模水害に巻きこまれる場合、首都圏と同時に被災することを避けるため、地方へ引越をいたしました。
- ただ、静岡県も、南海トラフ地震に巻きこまれた場合は、多数の被災者の一角を占めることになりますし、富士山が火山灰を大量に噴出するタイプの噴火を起こした場合は、首都圏と一緒に被災する可能性があるため、
- 今後の人生において、どこに居住するかというのは、まだまだ思案をしていきたいと考えております。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「大都市圏に居住するリスク」のお話でした。
災害を避けるために引越をしようというのは、誰にでもできることではありません。ただ、防災対策において、引越しという作業は大変効果の高い手法ですので、引越の機会がある場合はよく考えて、また家族が引越をするという場合にも、ぜひアドバイスをしてあげてください。また自分地震が現在の居住地から動けないという場合には、せめて災害で即死したり、大ケガをすることがないように、建物の室内対策等は万全に行うことが重要です。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!