Voicyそなえるらじお #61『緊急地震速報の限界を知る。間に合わなかった過去の地震は?』
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、2月25日(木)、本日も備えて参りましょう!
2004年2月25日…緊急地震速報の試験提供開始
本日のテーマは「緊急地震速報」です。
今から17年前の本日、2004年2月25日に、気象庁が緊急地震速報の試験提供を開始いたしました。当初は関東から九州の太平洋側で開始され、2年後の2006年3月までに全国が対象となりました。
大地震対策の切り札のひとつ、緊急地震速報
- 現在の所、大地震の予知はできません。と言うことは、大地震は必ず不意打ちで発生します。
- 揺れてからの防災対策は間に合いませんので、事前にどのような準備をしていたか、どのような建物に住み、室内がどのような状況で、津波や火災からの避難準備ができていたかが、そのまま生死に直結します。
- そんな中、緊急地震速報は、大地震の揺れを事前に察知できるかもしれない、唯一の手段です。警報から揺れが到達するまでの猶予は、数秒から十数秒と短いですが、上手に活用すれば命を守る行動を取ることができる仕組み、これはぜひ活用をして参りたいところです。
緊急地震速報の限界
- 一方、緊急地震速報には技術的な限界があります。
- それは、「間に合わないことが多い」という点です。
- 緊急地震速報は、予知ではありませんので、揺れてから警報を出す仕組みです。
- 震源地から現在自分がいる地点まで、地震の強い揺れが到達するよりも、電気信号の方が早く伝わりますので、この時間差を活用した仕組みが緊急地震速報です。
- ということは、震源地と自分の現在地が近すぎる場合は、電気信号を飛ばしてもすぐに揺れが追いついてしまいますので、警報が間に合わないことになります。
- 特に、近い将来の発生が想定されている首都直下地震など、足下が揺れる直下型の地震については、緊急地震速報が間に合いません。
- 近い事例で言えば、
- 2018年9月6日の北海道胆振東部地震
- 2018年6月18日の大阪府北部地震
- 2016年4月16日の熊本地震本震2回目
- 2016年4月16日の熊本地震本震1回目
- などは、いずれも緊急地震速報で警報が出ていますが、震源に近い地域では揺れが先に到達してしまっています。
緊急地震速報が上手く働く場合
- 緊急地震速報が上手く動くのは、震源と現在地の距離が離れている状況で、大地震が発生した場合です。
- 2011年の東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震でも、緊急地震速報の警報が出ました。
- この時は、陸地については全ての地域で揺れよりも警報が先に到達したのですが、想定外の巨大地震だったため、システムが正しく動かず、震源から離れていたが強い揺れに見舞われた地域について、緊急地震速報が鳴らなかったという課題があります。
- この点については、先日の放送でもお話をしたのですが、システムの改良が継続的に行われ、先日2021年2月13日に福島沖で発生したM7.3の大地震では、ほぼ理想通りの緊急地震速報が発表されました。
本日も、ご安全に!
間に合わないこともある緊急地震速報ですが、事前にキャッチできれば、とっさに身を守る行動程度は取ることができます。また津波を伴う海溝型の地震は、緊急地震速報が間に合う可能性が高いです。この場合、せめて玄関などを開けるなどの対応ができれば、自宅に閉じ込められる危険が下がり、素早い避難に繋げることができる、というメリットも生まれます。何度もお話をしておりますが、とにかく緊急地震速報が鳴ったら訓練開始、身を守る行動を取る練習をしてみてください。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!