Voicyそなえるらじお #56『すごいぞ気象庁!理想的な働きをした今回の緊急地震速報』
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、2月17日(水)、本日も備えて参りましょう!
緊急地震速報がよい働きをした、福島沖の大地震
本日のテーマは「緊急地震速報」です。
地震発生からまる3日立ちました
- 2月13日の深夜、福島沖で発生したM7.3・最大震度6強の大地震から、まる3日が経過いたしました。
- 過去の大きな地震を振り返っても、地震発生から最初の3日程度は特に余震の回数が多いため警戒が必要ですが、今のところ巨大余震などは発生しておらず、一段落といった所です。
- ただ、気象庁も呼びかけていますが、1週間程度は突発的な揺れに注意が必要ですので、ぜひ前回#55、前々回#54の放送でお伝えした揺れの警戒対策、安全ゾーン作成、イメージトレーニングの実施、冷凍庫を満タンにしておく、などはしばらく継続をいただきたいなと思います。
進化する緊急地震速報
- さて、当チャンネル「そなえるらじお」では、2020年1月末、#43 #44の放送で、緊急地震速報の仕組みやオススメアプリのご紹介をしておりました。
- この放送を聞いて、アプリのインストールなどをされていた方は、今回の福島沖の地震でも、緊急地震速報を受信されたかもしれません。
- 今回の大地震では、この緊急地震速報が、システム設定の意図通りの良い働きをしています。
- 緊急地震速報は、2007年の10月1日から一般向けの運用が始まった、まだ比較的新しいシステムです。
- しかし、2011年の東日本大震災では、地震の大きさがあまりにも大きすぎ、システムの限界を超えてしまったため、実際には強く揺れた多くの地域で、緊急地震速報が鳴らなかったという問題が発生しました。
- これを教訓とし、気象庁では緊急地震速報のシステム改善を続け、直近では2018年から、PLUM(プラム法)と呼ばれる新しい方法を取り入れた、パワーアップした緊急地震速報がの運用が始まっています。
今回の地震では、緊急地震速報がよい働きをしました
- そして、先日の福島沖のM7.3の大地震は、この新しい仕組みが導入されてから迎えた、最大規模の大地震だったのですが、どうも仕組みが上手くはまり、なかなかイイ感じに緊急地震速報が発表されたのです。
- 緊急地震速報は、地震の強い揺れを、数秒前に知らせることで、とっさの身の安全を取ったり、自動車などを安全に停止させることで、地震による即死を防ぐためのシステムです。
- 今回の地震では、震源に近い地域でも、揺れが到達する数秒前に緊急地震速報を鳴らすことに成功しています。特に揺れが強かった、福島・宮城でも、数秒から10秒程度の猶予を持って、警報を出すことができたのです。
- さらに、新しい仕組みで地震の揺れを適切に解析することで、地震発生から33秒後に第二報が発表され、より広い地域に揺れの到達を、揺れる前に通知することができています。
- 今回の大地震では、負傷者は多く発生していますが、現在の所死亡者はゼロ名です。マグニチュード7.3・震度6強の直撃を受けて死者ゼロ、これは地震大国日本における、防災対策を積み重ねてきた素晴らしい成果ではないでしょうか。
一方、東京では緊急地震速報鳴らなかったの、なんで?
- 一般向けの緊急地震速報は、震度5弱以上の揺れが想定される地震が発生した際に、震度4以上の揺れが想定される地域に、警報を出します。
- 今回の最大震度は6強ですから、震度4以上の揺れが想定された地域については、基本的に緊急地震速報の対象となったわけです。
- しかし、震度4を観測した東京や神奈川では、緊急地震速報は鳴りませんでした。なぜでしょうか?これには理由があります。
緊急地震触法の前提
- 緊急地震速報にはテレビやスマホで受信する「警報」と、システム向けの「予報」の2種類があります。
- 予報は「M3.5以上・最大震度3以上」想定時に、訂正を繰り返しながら速度重視でバンバン出ます。
- 警報は「2観測点以上で・最大震度5弱以上」想定時に「震度4以上」が想定される地域に発表されます。
今回の(予報)
- 今回「予報」は地震の5.6秒後に第1報が出て、その後、4分後に第63報が出るまで続報(修正報)が出続けました。
- これは、気象庁が導入した新しい緊急地震速報の仕組みにより、震源から離れた地域においても、想定震度などが細かく修正され続けたためです。
- ただ、第1報時点では「最大震度5弱」と想定された地域はなかったので、テレビやスマホ向けの「警報」は出ませんでした。専用アプリなどでは即情報が出ました。
警報が出たタイミング
- 地震発生から10秒後の「予報」第6報で「震度5弱以上」の想定地域が出たため、テレビやスマホ向けの「警報」第1報が出ました。
- これは震度4以上が想定される地域に出ましたが、首都圏は含まれていません。鳴った地域は、この瞬間に身を隠すことができれば、あるいは命を守る行動ができた訳です。
第二報も出ました
- さらに地震発生から33秒後「予報」第29報が「警報」第2報として発表されました。
- 「警報 1報」で震度3以下想定だった「栃木県北部」が、「予報 29報」で震度5弱想定になったため、『「震度3以下」想定だった地域が「震度5弱」以上に追加された場合』に続報が出るという条件を満たし、「警報 2報」が出た。
- これでエリアが広がりましたが、この時もまだ、東京・神奈川は震度4以下想定だったため鳴っていません。
その後の情報
- その後、緊急地震速報ではなく、確定した地震情報(震度速報)で「M7.3・最大震度6強」と発表され、東京・神奈川なども震度4エリアになりました。
- しかし、緊急地震速報キャッチ時の推定震度は3以下でしたので、当然鳴らなかった。これが東京・神奈川などで鳴らなかった理由です。鳴っていたとしたら、アプリなどの独自設定ですね。
緊急地震速報が鳴らない、その他の条件
- なおスマホ・携帯の緊急地震速報は、携帯電波(3G・4G・LTE・5G)で受信しますので、「Wi-FiしかONになっていなかった」「通話中だった」などの場合は、鳴らないことがあります。
- 鳴る確率を上げたい場合は、Yahoo!防災アプリなどをインストールしておきましょう。こちらはWi-Fiでも使えます。
本日も、ご安全に!
緊急地震速報、鳴って、画面を見つめてでは安全行動が間に合わないことがあります。大地震の揺れを事前に察知する唯一のシステムです、ぜひ有効活用するために、あのイヤな音が鳴ったらどこに飛び込むか、せめて自宅の中だけでもイメージするようにしてみてくださいね!
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!