Voicyそなえるらじお #251 次の南海トラフ地震は、明日か、15年後か、72年後か?
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月7日(火)、本日も備えて参りましょう!
神のみぞ知る
本日のテーマは「南海トラフ地震」です。
- 本日12月7日は、77年前に昭和東南海地震が発生した日です。
- 1944年(昭和19年)12月7日、お昼過ぎの午後13時36分、紀伊半島沖の熊野灘で、マグニチュード7.9の巨大地震が発生しました。昭和東南海地震の発生です。
- 発生した時期が太平洋戦争の末期であり、軍部による情報統制の影響などを受けて実態以上に被害の状況が残されていない地震ですが、いわゆる近い将来の発生が想定されている「南海トラフ地震」のひとつで、強い揺れ、津波の影響を受け、発表されているだけででも1千名以上の方が犠牲となっています。
30年以内に70%
- ところで、前回の南海トラフ地震は、2回に分けて発生しました。
- 77年前の本日、1944年の昭和東南海地震と、まもなく75周年を迎える、1946年12月21日の昭和南海地震です。
- 南海トラフ地震は、過去を振り返るとおおよそ100年から150年周期で発生していることがあり、前回の南海トラフ地震から最短75年経過する現在、いつ発生してもおかしくないとか、状況が切迫しているなどと言われています。
- 具体的な数字としても、今後30年以内に70%から80%の確率で発生すると久しく言われている状況です。一方で、この数字についてはひとつ疑問も生じます。
- 前回の南海トラフ地震は、1944年と1946年に発生しましたが、その前はいつだったかと言えば、1854年に発生した安政の南海トラフ地震、さらにその前は1707年に発生した宝永の南海トラフ地震とさかのぼることができます。
- 南海トラフ地震の平均発生間隔は、だいたい100年から150年。
- 1707年の宝永南海トラフ地震から1854年の安政南海トラフ地震の発生間隔は147年、安政南海トラフ地震から前回の昭和南海トラフ地震の発生間隔は90年と92年です。
- 実は、前回の発生間隔90年・92年というのは、過去1500年ほどをさかのぼった発生周期の中でも最短だったりします。
- すると、前回の南海トラフ地震から75年が経過した現状、逆に言えば最短の発生間隔90年まではあと15年ほどの猶予があるので、まだ南海トラフ地震は起こらないのではないか。さらにその前の発生間隔は147年ですから、これを当てはめれば次の地震発生まであと72年の猶予があるとも考えられます。
- これは、そうかもしれませんし、当てはまらないかもしれないのです。
前回の地震は少し小さかった
- 前回発生した昭和南海トラフ地震は、過去の南海トラフ地震の中でも、比較的規模が小さかったと想定されています。
- 地震の規模が小さいということは、放出されるエネルギーの量も小さいということになりますので、ひとつはチャージされたエネルギーの量が少なかったから。もうひとつは全てのエネルギーを放出せず、じつはまだ結構残っている、両方の考え方ができます。
- どうでしょうか…、前回の南海トラフ地震の発生間隔、歴代最短である90年という数字を見ると、どちらも正しく見えます。90年しかチャージされなかったから地震の規模も小さかった、というのも正しそうですし、
- 90年分のエネルギーしか使わなかったから地震の規模が小さかった。まだ残っている歪みがあるので、次の地震はもっと早く来る可能性もある、これも正しく見えます。
- つまり、前回の発生間隔というのはあまりアテにならず、結局のところ次の南海トラフ地震がいつ来るのかは分からない、ということになるのです。
- 最短発生間隔90年までのあと15年は安全だ、と考えても良いですし、いやいや今回は最短発生間隔を更新する可能性があるから、もう来てもおかしくない、と考えることもできますが、全ての答え合わせは、地震が発生してからになります。
他の地震もあるよ
- ただ、ひとつ確実に言えることは、大地震は南海トラフ地震だけでなく、直下型の地震などは、いつでもどこにでも、発生してもおかしくないと言うことです。
- 近い将来、それが明日なのか、15年先か、あるいは72年先かは分かりませんが、確実に発生する南海トラフ地震に備えつつ、今この瞬間に緊急地震速報が鳴ってもおかしくない、足下で生じる直下型の地震に備える、
- 十分に準備をして、あとはドシンと、静観する、これしかありません。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「南海トラフ地震」のお話でございました。
ちなみに本日12月7日は、2012年に3.11東北地方太平洋沖地震の余震、マグニチュード7.3・最大震度5弱の余震が発生した日でもありますが、この余震は最大1m近い津波を生じさせ、1名の死者も生じさせる、余震とは言えない規模の地震でした。
次の地震、新しい地震、過去の大地震の余震、色々な地震がいつでもどこにでも発生します。どうぞ、日頃のご準備を進めてくださいませ。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!