備える.jp
サイトメニュー仕事依頼・お問合せ

Voicyそなえるらじお #250 トカラ列島の地震が1995年以降に激増した単純な理由

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #250 トカラ列島の地震が1995年以降に激増した単純な理由

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月6日(月)、本日も備えて参りましょう!

観測網の充実が大地震を増やす

本日のテーマは「トカラ列島の群発地震」です。

よくある地震ではある

  • 先週12月4日頃から、鹿児島県の屋久島と奄美大島の間に広がるトカラ列島、行政区分で言えば鹿児島件十島村(としまむら)で、群発地震が発生しています。
  • この放送を録音しているのは、昨日12月5日の18時過ぎですが、この時点で地震回数は100回を超えるなど、報道されています。
  • このような群発地震が発生すると、もしかして巨大地震の前触れなのではとか、巨大な噴火が起きるのではとか、考えたくなりますが、もともとトカラ列島周辺はこのような群発地震が度々生じる地域であり、
  • 今回の群発地震は現時点での規模はそこそこ大きい、つまり地震の回数が多めですが、そこまで珍しい現象ではありません。
  • 今のところ、巨大地震の前触れ、また巨大噴火の前触れ、そうした可能性に関する報道はされていませんが、この地震が何かの前触れなのか、それともよくある群発地震のひとつの風景なのかは、これが終息してからでなくては何とも言えません。
  • 日本の場合、いつでもどこにでも、最大規模の大地震が来る可能性がある、ということで、日頃から準備をし、冷静に報道を見る、ということが唯一できることになります。
  • 今回も、地震が気になるようであれば、最大限自宅の備えを確認し、いつ大きな地震に発展しても大丈夫なようにするしかない、ということになります。

実際のところどうなのか

  • とはいえ、数日の内に100回を超える地震が起きるというのは気になりますよね。ということで、少し調べてみました。
  • 誰でも登録不要かつ無料で使える、気象庁の震度DBをつかって、トカラ列島周辺の地震活動について数えてみました。
  • 1995年以降に、震度1以上を数えた地震を1ヶ月ごとにカウントしますと、トカラ列島周辺で月に10回以上の地震が生じたのは、全部で19回あります。平均すれば1年に1回程度、群発地震が発生しているという言い方もできます。
  • 1ヶ月の地震回数が最も多かったのは、今年2021年4月で、このときは200回以上の地震が発生しました。
  • 他には、2016年12月の55回、2000年10月の48回なども比較的数が多かった時期となります。

地震計も増えている

  • ちなみに、震度DBで過去100年分のデータを検索しますと、トカラ列島での地震は、1990年代以降急激に増えていることが分かります。
  • ただ、これは地震が増えているということではなく、観測網の充実によるものです。震度DBに記録されるのは、震度1以上が記録された地震のみであるため、地震計が設置されていない場所で起きた地震は、記録に残りません。
  • トカラ列島にある十島村(としまむら)に、気象庁の震度計が設置されたのは、1994年と1995年のことで、これ以降、見かけ上の地震の回数が増加しているということになります。
  • 地震の回数カウントには、このような地震計の増加の歴史という背景もあるため、情報を見るときにはこうした側面もぜひチェックしてみてください。

本日も、ご安全に!

ということで、本日は「トカラ列島での群発地震」のお話でございました。

群発地震は被害の規模以上に怖い現象ですし、現地にいる方々にしてみると心穏やかにはいられない状況と思います。

一方、数字をきちんと見れば、それほど珍しく無い現象であるということも分かります。やることをきちんと行い、冷静に対応する、基本的にはこれしかありませんね。

それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

新着のブログ記事

ブログカテゴリ

備える.jp 新着記事