Voicyそなえるらじお #247 フィリピン・ピナツボ火山噴火、でもお米の備蓄はまだ早いです!
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、12月1日(水)、本日も備えて参りましょう!
月初の自己紹介とちょっとしたお話の日
本日のテーマは「緊急備蓄のタイミング」です。
- 昨日11月30日、フィリピン・ルソン島にあるピナツボ火山が噴火を起こしました。30日の夕方時点の情報では、噴煙の高さは1万3千メートルに達しているということですが、現地の被害状況、今後の活動などの情報はまだ入って来ておりません。
- ピナツボ火山は、そなえるらじおの #129 でもお話をしたことがありますが、1991年に超大規模噴火を起こしていまして、これは20世紀最大の火山の噴火として記録されています。
- 今日はこの辺りの深掘りをしたいと思うのですが…
月の初めの自己紹介
その前に、本日は12月初回の放送となりますので、月初の自己紹介をさせていただきます。
- 当チャンネル、『Voicy・死なない防災!そなえるらじお』、先日11月24日に放送1周年を迎えることができました。ここまで継続をすることができましたのも、毎日多くの皆様にお聞き頂き、コメントやいいねボタンなどのご評価を頂いた結果となります。本当にありがとうございます!
- 当チャンネルは、個人と家庭の備えと防災をテーマに、大地震や水害などの自然災害を対象とした防災、感染症パンデミック対策、あるいは銃火器を使わないゾンビへの備え方まで、「防災をライフスタイルにする」ための様々な情報・ノウハウを紹介する番組として運営を行っております。
- 少しずつチャンネル登録をいただく方が増えておりますので、毎月初回放送では、そもそも私が何者なのか、という簡単な自己紹介からスタートさせていただきたいと思います。
自己紹介
- 私は、「備え・防災アドバイザー」という肩書きで活動をしております、高荷智也と申します。
- どこかの大学や研究機関、あるいは防災関連の企業に所属しない、フリーの専門家という立場で活動をしております。
- 家庭の防災対策や企業の危機管理などを大テーマに、
- 講師業…講演会やセミナーなどでお話をしたり、
- 執筆業…雑誌やwebメディアなどでコラムを連載したり、様々な防災記事の監修を行ったり、
- コンサル業…企業と契約をして防災グッズの企画開発や、BCPと呼ばれる危機管理のマニュアル作成のお手伝いをしたり、
- メディア出演業…テレビやラジオなどで災害の解説や、防災に関するアドバイスを行ったり、
- メディア運営業…私自身が運営するwebメディア「備えるJP」、YouTube「そなえるTV」、voicy「そなえるらじお」などの運営を行ったりと、
- 「備え・防災」の何でも屋さんという立場で、お仕事をしております。
まだ慌てるような時間じゃない
- と言うわけで本日のテーマ、緊急備蓄のタイミングのお話です。
- 火山の噴火は、規模が極めて多くなると、噴き出した火山性の噴出物が地球全体に拡散し、火山の冬現象と呼ばれる、気温の低下をもたらします。
- 1991年にフィリピン・ピナトゥボ火山が噴火した際にも、その後世界的な気温低下や、冷夏による作物への影響が発生しました。
- 日本の場合は、噴火の2年後、1993年(平成5年)に発生した冷夏によるお米の大凶作、通称平成の米騒動が問題となりました。
- この時の記憶がある方、あるいは今後ニュースやSNSなどで、こうした話題が上がって参りますと、今のうちにお米を買いだめしておかなくちゃ、という気持ちにもなるのですが、それはまだやめてください。理由は…
- まず、地球規模での寒冷化は、火山が噴火すると必ず起きる訳ではなく、数百年にいちどレベルの、超大規模噴火が生じた場合にのみ発生するレア現象です。
- 1991年のピナツボ火山は、噴火の規模を示す火山爆発指数・VEIは6で、これは数百年にいちどレベルの超巨大噴火であることを示す値です。
- この時の噴火では、火山灰が高度40キロと成層圏にまで達し、火山から千キロ離れたベトナムやマレーシアでも火山灰が観測されました。
- 昨日の噴火で観測された噴煙は、高さ13,000mと、大規模ではありますが、超大規模噴火というレベルには達していません。今後の情報をよく見て判断、つまり、まだ慌てるような時間ではないということなのです。
タイムラグもある、他の選択肢もある
- また、仮に超大規模噴火が発生しても、即座に食料危機が生じる訳ではありません。成層圏まで達した火山性の噴出物が地球を覆うまでには時間がかかりますし、そこから気温低下が生じるまでにもタイムラグがありますし、また気温低下が冬に起これば農業的にはあまり影響がなく、いつ発生するのかということも問題になります。
- 仮に1991年と同じ状況が今後生じる場合、これからピナツボ火山が超大規模噴火を起こしたとしても、そこから気温低下が始まり、農業への影響を与え、それが市場へ反映されるまでには1~2年のタイムラグがあります。
- そして、お米は常温での長期保存ができません。いまお米を買い込んでも、これが必要となる数年後には、もう食べられなくなってしまいます。もっと情報を集めてからでも大丈夫です。やはり、まだ慌てるような時間では無いと言うことなのです。
- ということで、今お米を大量に買い込んでも、必要となる前に無駄になる可能性が極めて高いですので、やめたほうが良いです。
- ただし、火山の噴火以外の災害の発生や、何かしらの理由による物資不足はいつ起きてもおかしくありませんので、世の中の状況に関わりなく、常に一定の備蓄品を確保することは有効であるといえます。
本日も、ご安全に!
ということで、本日は「ピナツボ火山と食料備蓄」のお話でございました。
ちなみに、私もこのタイミングでは備蓄品の積み増しはしません、平常ペースです。火山の噴火の場合は、
- VEI6以上の噴火が発生した
- 噴煙が高度数十キロに到達した
- 1991年のピナツボ火山噴火や、1815年のタンボラ火山噴火に匹敵する噴火になった
などの情報が出て来た場合には、食料備蓄追加の計画を立て始めることになろうかと思っております。
それでは皆さま、本日も引き続き、ご安全に!