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Voicyそなえるらじお #832 高知・愛媛で観測史上発の「震度6」…の背景と報道の読み取り方

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #832 高知・愛媛で観測史上発の「震度6」…の背景と報道の読み取り方

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月19日(金)、本日も備えて参りましょう!

ビックリしましたね

本日のテーマは「豊後水道の地震」のお話です。

  • 一昨日…4月17日(水)の深夜23時14分、九州と四国の間の海域…豊後水道の愛媛県に近い場所でマグニチュード6.6、深さ39キロ、最大震度6弱を観測する大きな地震が発生しました。
  • この地震による津波の発生はなく、地震からまる1日経過した時点における被害の状況としては、死者や重傷者の発生はなく、大規模な被害は報じられていません。しかし震度1以上を観測する余震が、地震から24時間で35回観測されるなど、しばらくは余震または強い地震に警戒が必要です。
  • 本日はこの地震に関するお話。

南海トラフ地震との関係

  • 豊後水道は、九州と四国の間にある海域で、太平洋と瀬戸内海を結ぶエリアです。豊後水道では平時から繰り返し地震が発生しており、マグニチュード5から6程度の大きな地震も何度か発生した事があります。
  • このエリアで大きな地震が発生すると気になるのは、南海トラフ地震との関連性です。豊後水道は、地下30キロあたりの場所で、太平洋側のフィリピン海プレートと、日本列島が乗っているユーラシアプレートがぶつかっています。
  • このプレート境界で大きな地震が生じた場合は、南海トラフ地震の誘発を含め、関係性に注意が必要となるのですが、今回の地震は地下39キロと、プレート境界よりも深い場所で発生したため、南海トラフ地震とは関係の無い地震であると評価されています。
  • 一方、プレート境界から離れた場所の地震であっても、それが巨大なものであれば、南海トラフ地震を誘発するのでは、とも考えたくなりますが、今回の地震はM6.6と、そこまで巨大なものではありませんでした。
  • 南海トラフ地震への警戒が必要な場合、政府から「南海トラフ地震臨時情報」という発表が出されることになっていますが、これが発表される基準のひとつに、南海トラフ地震の想定震源域内で、M6.8以上の地震が生じた場合というものがあります。今回の地震はM6.6で、南海トラフ地震臨時情報の基準には少し及ばなかったため、特別な警戒は呼びかけられませんでした。
  • ということで、今回の豊後水道の地震は、南海トラフ地震とは関係の無いものだとという結論になっているのですが、それとは無関係に、南海トラフ地震が今日発生してもおかしくないのも事実ですので、楽観も悲観もせず、引き続き日々の地震対策を継続して頂きたいと思います。

震度とマグニチュード

  • 今回の地震の発生を受け、メディアなどでは、愛媛県と高知県で、観測史上初めて「震度6弱以上」の揺れを観測したなどの報道がなされています。
  • 過去の地震のデータは、気象庁が提供する「震度データベース検索」というホームページを見れば、だれでも閲覧することが出来るのですが、これでさかのぼることができる1919年以降、確かに愛媛県と高知県では、震度6弱以上の揺れを観測したことはなく、今回が史上初と言うことになります。ただ、この報道には少し注意点があります。
  • 高知と言えば、南海トラフ地震の警戒が特に叫ばれている地域ですが、1946年には前回の南海トラフ地震、昭和南海地震が発生しています。この地震、確かに気象庁の震度計によると、高知県内の最大震度は5なのですが、気象庁以外の地震計では震度6を観測しています。
  • また、1968年にも、豊後水道の南、日向灘でM7.5の大きな地震が発生し、高知県でも高さ2メートルを超える津波を観測していますが、この時の最大震度も記録上は5です。しかし地震計の数が多ければ、震度6を記録していた可能性もあります。
  • 当時は地震計の数が少なく、現在と同じ規模の地震が発生しても、場所によっては小さな震度しか記録されないことが多くあります。また震度7が誕生したのは1949年ですので、それ以前の地震の記録には当然ながら震度7は存在しません。
  • 過去の地震と現在の地震を比較する際には、自然災害としての尺度になる震度も重要ですが、自然現象としての比較をする場合は、マグニチュードの数字を使う方がより正確になります。と言うことは知っておくと役立つかもしれません。

本日も、ご安全に!

本日は「豊後水道の地震」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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